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George Clooney「ミッドナイト・スカイ」雑感

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George Clooney「ミッドナイト・スカイ」2020年公開 Netflix配信中(2020.12.26現在) 近未来・太陽系規模のサバイバル。 若干アート寄りのエンタメとしてまずまず楽しめて、 「ゼロ・グラビティ」的な船外活動シーンはできれば映画館の大画面で観たかったが、 根本の設定(何が地球に起こったか?)が明確に説明されないのは少々気になった。 EVENT(事故? 災害?)が起きてから3週間、 この時点で地球に残っているのは(ほぼ)George Clooneyだけ、 宇宙に出ている他の宇宙船や宇宙ステーションと連絡不能になっているようだが、 そもそも何が起きたかは説明されないので、 そんなに短時間でそんなに連絡も取れない状況になる !? と思えてしまう。 木星帰りの連中からすれば、そうは言われても、 本当にそうなのか別の手段で確認しない事には、 乗組員だけではそんなに簡単に決断できないような気もするのだが。 木星の衛星の画はあるいは狙いなのか少々CGっぽいが、 全体的にいかにも金がかかっていそうなしっかりとした画。 「2001年宇宙の旅」ディスカバリー号を継承するデザインの宇宙船、 人工重力ブロックを移動する描写が新鮮(無重力ブロックを抜けて対面へ)。 宇宙船の名前は「イーサー」が一番近そうに聞こえるが、なぜか字幕は「アイテル」。 途中で登場する少女は、映画的には絶対にこういう事だよね、という所に落ち着くが、 もしかしてそうではないのかも、と思わせる展開もいろいろある。 「インターステラー」を想起させる壮大な時空を越えたほぼラストのショット。 宇宙船を含めて全てが死にかけたGeorge Clooneyの夢、 という解釈もできなくはないが…。 ヒロイン・Felicity Jonesは30代後半でもまだまだ充分attractive。 撮影開始直前に実際に妊娠が発覚したので、 劇中でも妊娠している設定に脚本が変更された。 ミッドナイト・スカイ 作品データ George Clooney プロフィール

Olivia Wilde「ブックスマート」雑感

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Olivia Wilde「ブックスマート」2019年公開 Netflix配信中(2020.12.24現在) 多様性と寛容の時代の新しい青春映画。 80年代なら脇でコメディリリーフ的に使われそうなキャラが主役。 ラストシーンでエイミーがクルマを降りる時、 計算なのか偶然なのかポスプロなのか判らないが一瞬フレアが射し込み、 音楽にもやられて涙腺がぐぐっと緩む。 青春映画ならではのever lasting moment。 甲板から海に飛び込んだジジの安否確認をしないで逃げるのはちょっとひっかかる。 あくまでコメディ映画と考えれば許容範囲内とも思えるが、 この時点で意外と全然大丈夫だった(普通に泳いでいる)で構わないと思う。 「gap year」の日本語訳、「休暇」はしっくりこないが、 ぴったりはまる日本語は何なんだろう? 主人公Beanie Feldsteinはおせじにもグッドルッキングとは言えない容姿。 もうひとりの主人公、ゲイのエイミーのKaitlyn Deverは独特な声、 正統派の美人ではないが、角度によってはMolly Ringwald程度にはattractive。 エイミーの相手役・Diana SilversはNastassja Kinski風骨太美人。 ブックスマート 作品データ

David Fincher「Mank マンク」雑感

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 David Fincher「Mank マンク」2020年公開 Netflixで自宅鑑賞。 ストーリーは正直よく判らない所が多々あったが、 映画全体のムードは悪くない。 しっかりとした画(構図、照明、陰影のメリハリ)と印象的な音楽。 ルックスや性格造形に魅力がある人物。 中規模の空いている映画館でひっそり観たかった。 「市民ケーン」を見直して、 「市民ケーン」にまつわる様々なな事を勉強してから見れば、 理解できる/楽しめる要素は確実に増えそう。 そういう意味では配信は便利ではある。 ※「市民ケーン」はAmazon配信中(20.12.24現在) Mank マンク 作品データ

Ryan Murphy「ザ・プロム」雑感

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Ryan Murphy「ザ・プロム」2020年配信 Netflix配信中(2020.12.22現在) 田舎のゲイの少女をブロードウェイのミュージカルスターが応援する。 あまり深く考えずに見るミュージカル映画としては充分楽しめると思うが、 ストーリーは、冷静に振り返るとひっかかる点多々。 良かった曲: ◯主役はエマ、私じゃない(23分頃、スパニッシュなムード) ◯あなたと一緒に踊りたい(29分頃 オーソドックスな美しさ) ◯人生はリハーサルじゃない(52分頃、軽快なリズムの人生応援歌) ディーディー達の話とエマの話、 ふたつのメインプロットはどちらもドラマ的には曖昧で弱い。 ディーディー達の話(人気を得る為に社会貢献)は、 何がどうなれば成功なのかという条件が提示されないので曖昧なまま。 映画を動かす話としてはそもそも弱い。 コレが成功しないと仕事を失う、というレベルではなく、 舞台がコケたので暇つぶしに行動しているようにも見える。 エマの話(ゲイの女の子が好きな相手と一緒にプロムに行く)は、 話としては一応成立している。 こちらを明確に太いメインにした方が良かったのではないか?  ただし、エマは登場時からしっかり意思表示ができているので、 Nicole Kidmanが励まさなくてもなんとかなりそうに見えてしまう。 ひとりで歌ってネットに上げるのは、ディーディー達がいなくても成功しそうなプラン。 ディーディー達と一緒に歌って踊る、など、ひとりでは成立しないプランの方が良かった。 ディーディー達がやった事で一番有効だったのは2回目のプロムの費用を出した事!? 小太りのバリーのサブプロットはバランスを欠いて尺を取っている。 このキャラの親子関係を見せるくらいなら、エマと親の関係修復を見せるべき。 バリーの話がエマをプッシュアップする話になっているなら別だが、 そうなっているようには見えない。 最初のプロムのシーンの校長の言動はよく判らない。 こうなる事を知っていてエマに告げるのだが、 校長はエマ側だったのではないか?  「ラ・ラ・ランド」のように魂が震えるレベルのミュージカル映画は稀で、 魅力的なナンバーが2〜3曲あればミュージカル映画としては及第点。 その意味では今作も及第点と言えば及第点。 ザ・プロム 作品データ Meryl Streep プロフィール

Mike Flanagan「ドクター・スリープ」雑感

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 Mike Flanagan「ドクター・スリープ」2019年公開 エンタメとしてギリギリ及第点。 「シャイニング」の続編として色々楽しめる要素がある。 151分は長い。 エブラとダニーの出会いから始めて、 子供の頃の話、やさぐれていた時期、酒絡みの話など、 いろいろばっさり切るかフラッシュバックで語れば、 充分100分以内にまとまりそう。 <STAR WARS EP8・EP9問題>も結構気になった。 画面上は同じ場所にいるように見える2人の双方または片方が、 実際はその場所にいないという見せ方(超能力を使っている)。 映画における<対決>は実際にその場にいる事が重要。 「鬼滅の刃」はその場で互いに肉体を削り合っているから心が燃える。 2回の前哨戦でいずれもエブラがローズに勝利。 これも映画の原則からすると逆であるべきでは?  追い込まれた主人公側が起死回生のアイディアで勝つべき。 起死回生のアイディアは今作で言えばホテルの幽霊たち。 2回前哨戦で負けたローズがホテルまで来る理由、 最後の対決の時に自信たっぷりな理由はよく判らなかった。 ホテルの幽霊たちはダニーの頭の中の箱に入っているのでどこでも出せるのでは? 原作にはホテルで出すとさらにパワーアップとか何か理屈があったのだろうか。 10話程度のシリーズを前半を重視してまとめた総集編のような印象で、 中盤までの丁寧な見せ方と終盤のバランスが悪い。 数千年も生きてきた悪者グループは簡単にやられ過ぎ。 銃で1発撃たれると肉体が消えて死亡していて、 銃で撃たれると一般人より弱いようにさえ見えたが、 なぜそうなるかのかは説明なし。 もし銃で撃たれても簡単に死ななければ、 ダニーとビリーは大ピンチだったのだが、 その辺りの戦術的説明はなく、 サブキャラに退場して貰う為のご都合的展開にも見える。 一時期のダニーが酒に溺れてやさぐれていた理由は示されていなかったようだったが、 酒を飲まないと箱が開く悪夢で眠れない、など何かあったのだろうか? ホテルで父親(バーテンダー)が酒を「薬」と言ってすすめるシーン、 ダニーが酒を飲む=ダークサイドに堕ちる的な演出に見えたが、 ダニーと酒にまつわる何か重要な要素を見落としていただろうか?  強力な催眠術使いの小悪魔的少女、 登場〜仲間になるまではかなり丁寧に描かれているが、 終盤以降は死ぬ間際

浅田次郎「おもかげ」読書メモ

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浅田次郎「おもかげ」講談社文庫 2020年発行 全開ノスタルジー。 多分50歳を過ぎてから読まないとあまり染みてこない類の作品。 解説によると対になる作品とされている「地下鉄(メトロ)に乗って」は 32歳の時に読んでいるが全然覚えていない。読み直そう。 夢/妄想のようなノスタルジー展開を、なんの説明もなく、 ひたすら体験者の主観として、当然起こる事のように描くのが良い。 65歳の男性が19歳の肉体を実感する興味深い描写はP351〜。 死は虚無にちがいないが、 そこに至るまでには、 きっと時間からの解放があると僕は信じている。 たとえそれがたったの数分間であっても、 死にゆく人にとっては数十年にも、 もうひとつの人生にも、 いや永遠に思えるほどの世界が待っているのだ(P246) 眠れない夜の深夜にじっくりしみじみと味わいたい。 浅田次郎 プロフィール

田中重雄「東京おにぎり娘」雑感

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 田中重雄「東京おにぎり娘」1961年公開 若尾文子の結婚を巡る父娘の話。 作品だけを見るとやっつけ気味に見える脚本。 登場人物は多いがドラマの根本(対立/確執)が弱い。 行間を味わうアート寄りとも思えない。 役の重要度と出番の数が不釣り合いに見える演者が何人もいるので、 香盤表的問題(スケジュール調整)がいろいろあったのかもしれない。 川崎敬三の出番は不自然に少なく、ジェリー藤尾の出番は不自然に多い。 観客が既に知っている事を台詞で言わせるなど、無駄に冗長なシーンも散見。 若尾文子と中村鴈治郎の親子のかんちがい会話は、 もっと引っ張って面白くできそう(66分頃)。 座敷雀荘の女将の藤間紫の気風の良さ。 できれば東京弁の役者と絡んで欲しかった。 中村鴈治郎(父親)は新橋に30年商売やっていて関西弁残りすぎw 中村鴈治郎はどうも顔も声も生理的に苦手なのでもともと移入はムリだが、 今作も中村鴈治郎が甘やかされている脚本なので余計移入しがたい。 自分の事を呼ぶ一人称が「おれ」「わい」と異なるのは相手によるのか? 普段着のらくだ色のカーディガンは小津映画で笠智衆が着ていたそれに似ている。 当時の実景ショット多数(新橋・銀座・新宿)。 画面に奥に日劇らしい建物が見えるショット、 新橋駅前広場らしきショット。 大映作品

Sam Mendes「1917 命をかけた伝令」雑感

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Sam Mendes「1917 命をかけた伝令」2020年公開 Amazon配信中(2020.12.12現在) 2020年1月に予告編を見て「これは映画館で観なくては」と思っていたが、 新型コロナウイルス問題で行けなかったのを自宅で鑑賞。 延々と続くワンショットに見える映像の魅力、 自宅の40インチモニターでは半減以下。 塹壕を延々移動するショットの臨場感は大画面で味わいたかった。 撃たれて死んだようにも見えた所からタッチが変わる(66分頃〜)。 夜の燃える街を延々走る。照明弾? の明かりと夜の闇。 それまでのドキュメンタリー風のルックがアートなルックに一変。 ココから後は死ぬ間際に見る永い夢という解釈も可能。 賛美歌のような歌を聴く多くの兵士は座ったまま全く動かない(90分頃)。 既に死んでいる兵士?  必死に運んで届けるのが「撤退命令」というのは、 リアルと言えばリアルだが、ストーリー的なカタスシスは少しそがれる。 最初のショットと最後のショットは同じ状況(木にもたれて座っている)。 1917 命をかけた伝令 作品データ

Woody Allen「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」雑感

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 Woody Allen「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」2020年公開 雨のニューヨークで起こる約1日の恋愛模様。 Woody Allenが自分で演じそうな人物が多数登場する、 非常にWoody Allenっぽい作品。 ストーリーは正直不明瞭な部分が多いが、 雨降るニューヨークのムードは悪くない。 バス、クルマ、スマホが登場しなければ70年代以前の映画に思えるルック。 「笑い方が嫌だから結婚したくない」という兄の話、 「笑い方が嫌」はとにかくなんとなく結婚したくないという心理の方便で、  実際は「婚約者とのセックスに飽きた、なんとなく結婚したくない、 もっと他に自分に合う女性がいるかも」という心理なのかもしれない。 なぜ1年以上もつきあったのか? という弟の問いかけに兄は明確に答えていない。 母親の過去の告白(売春婦だった)は、 ストーリーにおける効果、 Timothée Chalametの心理に与える影響がよく掴めなかった。 Timothée Chalametの世界が変わるほどのモノだったか?  世界が変わるほどのモノでなかればクライマックスに置く意味がない。 Timothée ChalametがElle Fanningと別れて、 Selena Gomezを選んだ(ように見える)理由もよく掴めなかった。 母親への反発から本来の自分とは違う生き方(郊外の大学、ギャンブル)を あえて志向していたのが、母親の告白で自分の本質に改めて気付き、 Elle Fanningの教養不足(シェイクスピアではない?)が決定打になった、 という流れを作っているように見えたが、 別れる決定的理由としては弱い(判りにくい)。 主人公がTimothée ChalametとElle Fanningに分裂していて、 結果的に両方とも中途半端になっているように感じた。 どちらも芸術に重きを置いてる人物のように見え、 教養の量はともかく、価値観の違いは明確に描かれていないので、 何が明確な恋愛の障害になるのかがよく判らなかった。 判りやすい話にするのなら、 Elle Fanningをもっと明確な上昇志向の俗物にする、 または「ハンナ…」のように不倫/浮気という障害を明確に置く。 Netflix「キング」で名前を覚えたTimothée Chalametは、 こういう繊細な貴族的キャラがよく似合う雰

北野武「あの夏、いちばん静かな海。」雑感

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北野武「あの夏、いちばん静かな海。」1991年公開 公開当時に映画館で鑑賞した時の印象が圧倒的。 言葉で説明しがたい映画的魅力を支える大きな要素は久石譲の音楽。 一発で耳に残るメインテーマ音楽。 メインテーマ音楽に感じる物語は青春時代の恋愛の奇跡。 偶然同じ時代に生まれて偶然出会って偶然仲良くなって一緒に過ごすが、 (殆ど場合)その状態のままで永遠には続かない。 その刹那な永続性、永遠に続くと思える一瞬、ever lasting moment。 試しにメインテーマがかかっている部分を無音にすると相当に味気ない。 台詞もないシーンなので音楽がなくなると魅力75%減(個人の感想です)。 26分頃のバスのシーンは、 いつも一緒にいるが当たり前の相手に何かが起きて、 突然一緒にいられなくなる事はいつでも起きる可能性があるという、 普遍的事実を象徴する名シーン。 この作品においては当然ラストシーンの伏線。 バスのシーンで貴子が一緒に降りなかった理由はよく判らない。 最初は常に一緒にいなくても平気だと思ったのが、 一緒にいない時間がだんだん長くなると、 永遠に会えなくなるような気がしてくる、という事だろうか? サーフィン関係の脇役の演技が自然(特に発声)。 サーフショップ店長、サーファー仲間、 サーフィン大会場内アナウンス、など。 エピローグで何度も繰り返されるメインテーマ音楽。 集合写真(記念写真)の哀しさ。 同じメンバーは二度と揃わない可能性。 全ての出会い(と別れ)はほんの偶然。 その中でも刹那の永遠要素がより強く顕現するのは若い頃の恋愛という事か。 ビートたけし プロフィール

市川崑「あの手この手」雑感

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市川崑「あの手この手」1952年公開 冒頭、仕事が忙しい妻(水戸光子)と、 そうでもない夫(森雅之)のすれ違い気味の生活のように見えて、 夫婦関係修復の話(または破綻)と予想するが、 その後の展開・着地はやや曖昧。 2020年の視点で見ると、ほぼ同時期の「自由学校」に比べると、 人物もストーリーもあまり新鮮味がなく、 程々の対立/確執の展開で程々の所に着地。 都会的ソフィスティケイテッド・コメディを志向して、 あまりうまく行かなかったような。 カメラの動きや字幕の使い方に、オーソドックスとは言い難い部分あり。 ・流れる字幕(37分頃) ・高速トラックバック(90分頃) アプレ娘かと思いきや「就職して独立はしたくない」などと言う、 とらえどころがない若い女の子(親戚の子)の久我美子(1931年誕生)、 けっこう老け顔なので、後年の「無邪気な関係」の母親役とあまり変わらない印象。 近所の医者の伊藤雄之助が異彩を放つ。 子供がいない夫婦の家に親戚の若い女の子が転がり込んで来る展開は 成瀬巳喜男「めし」にちょい似。 あの手この手 作品データ

小津安二郎「浮草」雑感

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小津安二郎「浮草」1959年公開 中村鴈治郎と京マチ子の2回目のケンカ(80分頃)、 中村が京マチ子の背中をはたくなど、 1回目に比べて更にエスカレートするが、 あっさり京マチ子の方から仲直りしようとする。 コンプラと各種ハラスメントでガチガチに縛られた2020年の感覚で見ると、 「そこまで言い合って手も出されて簡単に修復できるの!?」と思ってしまうが、 結局はどこまでも役者である両人にとっては、 これは痴話喧嘩・一種のレクリエーション、 一歩ひいた所から見れば、互いの<怒った演技>の見せつけ合い、 と解釈するのが正しいような気がする。 2回目のケンカはケンカのままサスペンデットにして、 あれだけケンカしても、いざ舞台に上がってしまうと、 役者の本能が勝ってしまい、 怒った演技に更に磨きがかかってしまう、 みたいな展開も有りだったのではないか、と夢想。 浮草 作品データ 小津安二郎監督作品

小峰元「アルキメデスは手を汚さない」読書メモ

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 小峰元「アルキメデスは手を汚さない」講談社文庫 1974年発行 巻末の解説にあるように推理小説としてはそれほどでもないが、 70年代の高校生が計画・実行した復讐計画(前半の計画)は、 2020年のいま読んでもなかなか刺激的。 登場人物の高校生の台詞「(セックスは)お互いの粘膜を刺激し合って楽しんだだけのこと(P221)」に衝撃を受けて「高校生になってこんな事を平然と言えるようになりたいけど、僕にはムリで、これはスクールカースト最上位の一部の男子だけにありえる事なんだろう」と感じていたのは明確に覚えているので、初めて読んだのは多分中2か中3の時。この<お互いの粘膜を刺激し合って>という刺激的な表現以外の事は殆ど何も覚えていなかった。 ※注:スクールカーストという表現は70年代後半には一般的に存在していなかったが、当時 にどのような言葉で思考したか思い出せないので、一番的確な表現として使う 学園紛争で学内に立てこもった大学生や高校生の間で乱交が行われているという風評があった、という更に刺激的な表現(P257)、一切の経験がない中2か中3の僕にとってはトゥーマッチだったのか、全く覚えていなかった。この風評は事実に基づくのかどうかは非常に気になる所。 2つめの話(姉の不倫相手故殺→姉自殺)は動機・展開・証人などもろもろ弱い。 息子が失神させたのを、母親が死んでいると勘違いして殺し直した、という所がキモだと思うのだが、そこにきちんと焦点があっていない印象(主に語り方の問題)。 重要な証人のお年寄り、一瞬しか会っていない、色眼鏡をかけていた若者をはっきり記憶できるものだろうか?(P269) 作家生没年一覧

W杯決勝スコア一覧

W杯決勝スコア一覧 ㉓26年カナダ/アメリカ/メキシコ ㉒22年カタール ㉑18年ロシア ②フランス4-2クロアチア ※32チーム ※日本R16 ⑳14年ブラジル ④ドイツ1-0アルゼンチン(延長)※32チーム ※日本GS ⑲10年南アフリカ ①スペイン1-0オランダ(延長)※32チーム ※日本R16 ⑱06年ドイツ ④イタリア1-1ドイツ(PK5-3)※32チーム ※日本GS ⑰02年韓国/日本 ⑤ブラジル2-0ドイツ ※32チーム ※日本R16 ⑯98年フランス ①フランス3-0ブラジル ※32チーム ※日本GS ⑮94年アメリカ ④ブラジル0-0イタリア(PK3-2)※16チーム ⑭90年イタリア ③西ドイツ1-0アルゼンチン ※16チーム ⑬86年メキシコ ②アルゼンチン3-2西ドイツ ※16チーム ⑫82年スペイン ③イタリア 3-1西ドイツ ※16チーム ⑪78年アルゼンチン ①アルゼンチン3-1オランダ ※16チーム ⑩74年西ドイツ ②西ドイツ2-1オランダ ※16チーム ⑨70年メキシコ ③ブラジル4-1イタリア ※16チーム ⑧66年イングランド ①イングランド4-2西ドイツ(延長)※16チーム ⑦62年チリ ②ブラジル3-1チェコスロバキア ※16チーム ⑥58年スウェーデン ①ブラジル5-2スウェーデン ※16チーム ⑤54年スイス ①西ドイツ3-2ハンガリー ※16チーム ④50年ブラジル ②ウルグアイ2-1ブラジル(決勝ラウンド最終試合)※16チーム ③38年フランス ②イタリア4-2ハンガリー ※16チーム ②34年イタリア ①イタリア2-1チェコスロバキア(延長)※16チーム ①30年ウルグアイ ①ウルグアイ4-2アルゼンチン ※13チーム サッカー総合

Richard Tanne「ケミカル・ハーツ」雑感

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Richard Tanne「ケミカル・ハーツ」Amazon  2020年 配信 主人公のヘンリーは高校の 学校新聞の編集長。女性との交際経験ナシ。 80年代初頭なら Andrew McCarthy が演じそうなちょっとナイーブな雰囲気。 相手役 グレイス の Lili Reinhartは絶対どこかで見た事がある顔と思ったら、 ドラマ「リバーデイル」のヒロインだった。 前田美波里風面長美人。 角度によってはKristen Stewartにも似ている。 「リバーデイル」とは目のメイクがちょっと違うように見えた。 普通の青春映画(童貞喪失恋愛話)かと思って見始めたが、 明るい/暗いで分類すれば、はっきり暗い方に属する作品。 「レス・ザン・ゼロ」「プロミスト・ランド(1987年) 」の系統。 普通の世界にいる少年ヘンリーが、 交通事故で心と体に傷を負って混乱して危うい世界にいる グレイスに出会い、 いろいろあって、ヘンリーは大人になり、グレイスも立ち直る 話。 と、強引に簡単にまとめてしまうと、 この手の青春映画の魅力は到底伝わらないし、 かといって、全てを文字に書き起こしても、やはり肝心な部分は伝わらないと思う。 自分が青春を過ごしていた頃から50歳を過ぎた今に至るまで一貫して、 この手の青春映画に動かされてしまうのは、 ひとつには、 自分がいわゆるリア充的青春を過ごしてこなかった事に起因すると思う。 例えば、10代半ばの頃に大好きだった女の子と交際して結婚する。 または、 10代半ばの頃に大好きだった女の子と交際して、 その女の子とは別れるが、その後も常に誰かと交際して結婚する。 普通に子供を作って育てて、仕事にも家庭にも特に大きな問題はなく50歳を過ぎる。 もし、そんな人生と送っていたら、 多分、ここまで青春映画に動かされる事はないのではないか。 そもそも、映画や小説を必要としないではないか。 フィクションで埋める隙間がない程に充実したリアル!? 想像すると、そのあまりの生のエネルギーの強さに逆に病気になりそうだw 現実の僕は、10代半ばから20代半ばまで、 何度も何度も混乱や絶望や渇望や羨望など、 様々な非モテ・童貞的苦悩を味わってきた。 その記憶が今もなおどこかに生々しく残っているので、 今でも青春映画が描く様々な苦悩に 自分の事のように強く共感できる。 今となっ

吉川トリコ「夢で逢えたら」読書メモ

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 吉川トリコ「夢で逢えたら」文春文庫 2020年発行 TBSラジオ「アフター6ジャンクション」の紹介を聴いて即ポチ。 女性芸人と女性アナウンサーの半生と出会い、 ここ30年程度の様々なテレビに関するあれこれ。 昨今のコンプラ・パワハラ系の問題も扱っていて、 基本軽めの文体でサクサク読めるのだが、 いまひとつ物足りない感が残るのは、 様々な問題提起がされている割には、 大きな葛藤はなく、正面から徹底対決はしていないからか?  少なくともどちらかは正面からどかーんとぶつかって、 完全に表舞台から消えて行く、という着地点を期待していたが、 最初の相方も含めて、3人とも、なんとなく、折り合いをつけていく。 現実は、女性は男性中心のシステムを変えて行く為には、 正面衝突は避けて、こういう風に、 小さな積み重ねで少しづつやっていくしないのかもしれないが、 せめて小説の中では、もっと大きなドラスティックな何かが欲しかった。 作家(年齢順一覧)

北野武「3-4x10月」雑感

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北野武「 3-4x10月」1990年公開 北野武監督作品第2作。 今作は脚本も担当(1作目は野沢尚)。 言葉で語るのが難しい不思議な魅力がある作品。 陽光溢れる砂浜の海岸で数人で野球をするシーンのなんとも言えない幸福感(58分頃)。 全編BGMは一切使われていない。 音楽が流れるのはダンカンがスナックで歌う「悪女」だけ?  ヒロイン・石田ゆり子は抜群にattractive。 主人公(柳ユーレイ)と石田ゆり子の殆ど会話がないデート風景は、 3作目「あの夏、いちばん静かな海。」に繋がる。 全ては主人公の妄想(夢オチ)だったという説が有力らしい。 http://cinematoblog.hatenablog.com/entry/2015/07/21/200000 3-4x10月 作品データ ビートたけし プロフィール