Richard Tanne「ケミカル・ハーツ」雑感

Richard Tanne「ケミカル・ハーツ」Amazon 2020年配信

主人公のヘンリーは高校の学校新聞の編集長。女性との交際経験ナシ。
80年代初頭ならAndrew McCarthyが演じそうなちょっとナイーブな雰囲気。

相手役グレイスLili Reinhartは絶対どこかで見た事がある顔と思ったら、
ドラマ「リバーデイル」のヒロインだった。
前田美波里風面長美人。
角度によってはKristen Stewartにも似ている。
「リバーデイル」とは目のメイクがちょっと違うように見えた。

普通の青春映画(童貞喪失恋愛話)かと思って見始めたが、
明るい/暗いで分類すれば、はっきり暗い方に属する作品。
「レス・ザン・ゼロ」「プロミスト・ランド(1987年)」の系統。

普通の世界にいる少年ヘンリーが、
交通事故で心と体に傷を負って混乱して危うい世界にいるグレイスに出会い、
いろいろあって、ヘンリーは大人になり、グレイスも立ち直る話。
と、強引に簡単にまとめてしまうと、
この手の青春映画の魅力は到底伝わらないし、
かといって、全てを文字に書き起こしても、やはり肝心な部分は伝わらないと思う。

自分が青春を過ごしていた頃から50歳を過ぎた今に至るまで一貫して、
この手の青春映画に動かされてしまうのは、ひとつには、
自分がいわゆるリア充的青春を過ごしてこなかった事に起因すると思う。

例えば、10代半ばの頃に大好きだった女の子と交際して結婚する。
または、10代半ばの頃に大好きだった女の子と交際して、
その女の子とは別れるが、その後も常に誰かと交際して結婚する。
普通に子供を作って育てて、仕事にも家庭にも特に大きな問題はなく50歳を過ぎる。
もし、そんな人生と送っていたら、
多分、ここまで青春映画に動かされる事はないのではないか。
そもそも、映画や小説を必要としないではないか。
フィクションで埋める隙間がない程に充実したリアル!?
想像すると、そのあまりの生のエネルギーの強さに逆に病気になりそうだw

現実の僕は、10代半ばから20代半ばまで、
何度も何度も混乱や絶望や渇望や羨望など、
様々な非モテ・童貞的苦悩を味わってきた。
その記憶が今もなおどこかに生々しく残っているので、
今でも青春映画が描く様々な苦悩に自分の事のように強く共感できる。
今となっては、非リア充的青春を過ごして来た事には意味があった、
むしろそんな青春の方が良かったのではないか、とさえ感じる事もある。







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