田中重雄「東京おにぎり娘」雑感

 田中重雄「東京おにぎり娘」1961年公開

若尾文子の結婚を巡る父娘の話。
作品だけを見るとやっつけ気味に見える脚本。
登場人物は多いがドラマの根本(対立/確執)が弱い。
行間を味わうアート寄りとも思えない。
役の重要度と出番の数が不釣り合いに見える演者が何人もいるので、
香盤表的問題(スケジュール調整)がいろいろあったのかもしれない。
川崎敬三の出番は不自然に少なく、ジェリー藤尾の出番は不自然に多い。
観客が既に知っている事を台詞で言わせるなど、無駄に冗長なシーンも散見。

若尾文子と中村鴈治郎の親子のかんちがい会話は、
もっと引っ張って面白くできそう(66分頃)。

座敷雀荘の女将の藤間紫の気風の良さ。
できれば東京弁の役者と絡んで欲しかった。
中村鴈治郎(父親)は新橋に30年商売やっていて関西弁残りすぎw

中村鴈治郎はどうも顔も声も生理的に苦手なのでもともと移入はムリだが、
今作も中村鴈治郎が甘やかされている脚本なので余計移入しがたい。
自分の事を呼ぶ一人称が「おれ」「わい」と異なるのは相手によるのか?
普段着のらくだ色のカーディガンは小津映画で笠智衆が着ていたそれに似ている。

当時の実景ショット多数(新橋・銀座・新宿)。
画面に奥に日劇らしい建物が見えるショット、
新橋駅前広場らしきショット。




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