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庵野秀明「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」雑感

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庵野秀明「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」2012公開 Amazon配信中(2021.03.02現在) 2012年に今はなき新宿ミラノ座で観た時と全く同じ感想。 設定もストーリーも殆ど何がなんだかさっぱり判らないが、 とにかく何かすごいモノを観たという強烈な感触。 中1の冬に10年ぶりのリバイバル上映を観た「2001年宇宙の旅」に匹敵する感触。 前作と今作の間に何が起こったのか?  なぜ元ネルフ同士が戦っているのか? 最後にいったい何が起こったのか? ストーリーは疑問点だらけだが、 言葉では説明できない映像の力で惹きつけられる。 僕がものごころついた頃に「テレビまんが」と呼ばれていたコンテンツは、 1970年頃には想像さえできなかった地点に至った。 マジンガーZ→宇宙戦艦ヤマト→機動戦士ガンダム→新世紀エヴァンゲリオン。 新世紀エヴァンゲリオン 作品データ

ジェームズ・マンゴールド「フォードvsフェラーリ」雑感

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ジェームズ・マンゴールド「フォードvsフェラーリ」2020年公開 Amazon配信中(2021.02.08現在) レースシーンの迫力。ギアチェンジのリズム感。 できれば映画館の大きなスクリーンで見たかった。 マッハゴーゴーゴーのようなデザインのレーシングカー。 ル・マンのフェラーリはディノにそっくり? 今作は多分減量したクリスチャン・ベイルは相変わらずの存在感と眼力。 レースシーンとクリスチャン・ベイルだけでも入場料分の価値充分。 フォード御大と対面するシーンのマット・デイモンの発声・表情の説得力はいまひとつ。 マット・デイモンが最も輝くのは受けの芝居なのかもしれない。 ※「インビクタス」のティーカップ(優勝カップを象徴)を渡されるシーン フォードvsフェラーリ 作品データ  

岸善幸「あゝ、荒野」雑感

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岸善幸「あゝ、荒野」 2017年公開 映画内劇的効果装置としてのボクシング。 映画ファンとしての僕は、ドキュメンタリー作品なら別だが、 エンタメ作品の映画やドラマならこういう描き方もあり、と思う。 ボクシングファンとしての僕は、とっくにレフェリーストップ、 現実にはありえない状態で試合が続くのは納得できない、と思う。 そんな揺れ動く思いを抱えて最後の試合を見ていた。 ボクシングの試合以外の要素には強烈に突き抜けているモノはないが、 菅田将暉の存在感(特に眼力)で魅せる。 角度によって若い頃の南果歩風の木下あかりのエロス(スタイルよし)。 何度かある菅田将暉と木下あかりの絡みはどこか70年代的な刹那感。 サブヒロインの今野杏南はグラビアではさほど魅力を感じていなかったが、 今作は非常にattractiveに撮られている(メイク、照明、アングル)。 ボクシングの試合のシーン、 当った瞬間で切り替わる短いショットの時は効果音の威力でかなり見られるが、 ヒキの長めのショットでは時にミッキー・ローク風猫なで。 過去パートはなんとなく説明的・再現VTR風。 菅田将暉の父親が自殺したシーンの号泣芝居は個人的好みとして好きになれない。 あゝ、荒野 作品データ 菅田将暉 プロフィール

浅田次郎「地下鉄に乗って」読書メモ

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浅田次郎「地下鉄に乗って」講談社文庫 1999年発行 24年前(1997年)に1回読んでいるが、地下鉄に乗って? タイムスリップするという設定以外、殆ど何も覚えていなかった。 同じような設定の近作「おもかげ」に比べると、何の話か判りにくい。 何度も過去に飛んで何度も過去の父親に会うが、現在では一度も父親に会わない。 「過去の判明」は、知らなかった過去が判明した事によって現在の主人公の状況が変わるのが王道の展開。この話に当てはめれば、過去の父親に会った事で、現在の父親に対する認識・関係性が変わるのが王道。現在の父親と対面しないのは非常に不自然に感じられる。 王道の展開をあえて避けて描きたかったのは何か? と問われるとそこはよく判らなかった。 脇役かと思っていた愛人(みち子)が一番劇的な行動をする。 過去の世界で自らを殺す(一種の自殺)。 その行動に至るみち子の心境は全く判らなかった(何かを読み落としていたか?) 跳ぶ先の時代の中で一番の近過去で自殺する兄の心境、またしかり。 「記憶という暗い流れの中で、    孤独な人間を乗せて行きつ戻りつしている小舟が、  時間というものの正体だ」(P36) 浅田次郎 プロフィール