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タナダユキ「ロマンスドール」雑感

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タナダユキ「ロマンスドール」Netflix <ラブドールを題材にした作品>という事だけを番宣で聞いていて、「空気人形」と違うアプローチだとしたらどんな話がありえるのか? と思ってNetflixで見始めると、冒頭で高橋一生がいきなり「妻が死んだ」と言うので、妻を模したラブドールを作って永遠の愛に生きようとする(彼岸に行って戻って来なくなる!?)狂った展開を期待するが、その方向には行かず、曖昧な所に着地。ラストは「空気人形」と似たようなテイスト(結局はモノ=ゴミ)。 16ミリフィルムで撮影された暗めの画は全編通してなかなか良い。特にラブシーンの画。 「永遠に続くものはない」なんて判りきっている真実を大げさなモノローグで呟くよりも、映画を見ている間だけでも、たとえ狂気の愛であっても、とんでもない世界・見た事も想像した事もない世界に連れて行って貰いたかった。 色々な意味で僕は「空気人形」の方を買う。 アートを目指すがアートになりきれず、かといってエンタメとして職人的にきっちり楽しめるように作っている、というわけでもない、総体的にはどこか中途半端な作品。 こういう内容の映画でヒロインががっつり脱がないのは大きなマイナスポイント。ラブドールというテーマでエロティク要素希薄でやたらと美しい照明のベッドシーンばかり見せられても…。田畑智子の陽光あふれるリビングまだしも。 高橋一生プロフィール 蒼井優プロフィール

東陽一「もう頬づえはつかない」雑感

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東陽一 「もう頬づえはつかない」1979年公開 80年代半ば頃にテレビで放送されたのを断片的に見た記憶があり、その時は「なんだか暗い映画だなあ」「桃井かおりのモノマネの原点はこの作品なのかな? 」という程度の印象しか持たなかった気がする。その頃の僕は、70年代の普通の日本映画(つまりSFでもアニメでもエンタメでもない普通の人間が登場する普通のドラマ)にはあまり興味を持っておらず、たまに見ても殆ど何も掴めなかった(小津を見ても「単なるホームドラマ」と感じていた)。 いまAmazonで見ると、ストーリーそのものにはあまり魅かれなかったが、70年代の光景を眺めるだけでも楽しい。外ロケそれなりの尺、セットも作っているアパートの部屋も懐かしいモノを楽しむのに充分な長さ。 奥田瑛二のキャラは、70年安保を引きずっているらしい理屈っぽいインテリの森本レオと対照的なキャラとして設定されるのが王道なのだろうが、ATG的リアルはそんな判りやすい典型には行かず、ジャン・コクトーとリルケの話から察するに別の種類の面倒なインテリな気もするし、一方、吉野家のシーンには、今を生きる普通の若者のムードが前面に出ているようにも感じられる。映画の結末から察するに、どっちを選んでも同じ、という方向性であえてこういう(曖昧な?)キャラに設定している気がしないでもない。 それにしても、70年代はこういう理屈っぽい女好きがそんなにモテたのだろうか? 予備知識なしでこの映画を見た限りでは、普通の女子大生(と描かれているように見える)の桃井かおりが森本レオに激しく恋をしてしまった理由はよく判らなかった。 ラストの桃井かおりの引っ越し(ストップモーションの笑顔)は、70年代的な閉塞的人間関係を脱して新しい風(揺れるカーテン)に乗って<翔んでる女>に生まれ変わる、と解釈したい気もするが、かかっている曲(声も曲調も暗い!)からすると、それを目指してもやっぱり同じような男を好きになって同じような事を繰り返す、という気もしてくる。 高度経済成長で生活は豊かになってはきたが、なんとなく先行き不透明な時代の気分・ムードが、作品全体の通奏低音になっているような気もする。結局35年を経て見た今回もしっかり掴む事はできなかったようだ(冒頭の撮影開始前の現場のお喋り? の意味なんてさっぱり判らない)。 カーキ色のジャケットはこ...

大林宣彦「天国にいちばん近い島」雑感

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大林宣彦「天国にいちばん近い島」1984年公開 大林宣彦監督作品としては普通の映画。 ニューカレドニアの雄大な風景(海、空、山)と 原田知世の様々な表情を眺めるべき作品なので、 小さなモニタで見るとかなり魅力がそこなわれる。 全編ほぼ原田知世の主観で展開。 旅先で様々な人と知り合って成長するパターン。 イニシエーションとしてのひとり旅。 海に太陽が沈む瞬間に見える<緑の光線>の話は23分頃と87分頃。 エリック・ロメール「緑の光線」でも、 似たような事が語られていたような気がするが全く思い出せない。 ※エリック・ロメール「緑の光線」は1986年公開 ドラム缶風呂入浴&号泣シーンはノーメイクのように見える(71分頃)。 原田知世プロフィール 大林宣彦プロフィール 天国にいちばん近い島作品データ

是枝裕和「海よりもまだ深く」雑感

是枝裕和「海よりもまだ深く」Amazon 2016年公開 離婚した夫婦と子供が過ごす台風の夜(こんな筈じゃなかった)。 父親→主人公→息子と続く何か。 言葉で魅力を伝えるのが難しい類の映画。 最大の魅力はある種の空気感のようなモノ。 なんとなく成瀬巳喜男を想起。 夏の終りに夕方の人が少ない映画館でひとりで観たい作品。 樹木希林が住んでいる古い狭い団地のリアル感。 無駄にモノが多い。小さな湯船。 「アレ」が多用される会話。 笑いながら鋭く攻め込んで来るリリー・フランキー(56分頃)、 やはりリリー・フランキーはこういうちょっと悪い人の方がハマる。 「凶悪」は悪すぎだったけど。 地味なメイクと服でぼそぼそ話す真木よう子。 子供が入浴中に下着だけ脱いで短い時間で事に及んだら逆にエロティック (実際にはそんなシーンはない)。

山田洋次「ハナ肇の一発大冒険」雑感

山田洋次「ハナ肇の一発大冒険」Hulu 1968年 初登場時の元気がないハナ肇は、倍賞美津子との冒険から戻ってきてすっかり腑抜けた状態になっている、という事らしいが、この設定は捨てて、終止一貫しておっちょこちょいの調子乗り(寅さん、平等)の方が判りやすかった。 回想に入る直前の係員のやりとり、「有名なコードダジュールに…」は「ああ」と凡庸に受けるより、「(知ったかぶりして)ああ、あの有名な」とコミカルに受けたい。 ついでに回想形式も捨ててくれればもっと判りやすかった。 倍賞美津子が預けられるマクガフィン、ハナ肇と倍賞美津子の出会い、クライマックスの殺人犯、など偶然が多い。 絵葉書を読む目鼻立ちくっきりの若い店員は中村晃子。

西河克己「伊豆の踊子」雑感

西河克己「伊豆の踊子」1963年 Hulu ◯交通量が多い街角(銀座?)で会話(回想に入る直前) ◯現在はモノクロ、回想はカラー ◯太鼓と三味線のノーエ節はビッグバンド風アレンジの小林旭のノーエ節と  結構違う印象(49分頃) ◯大正の終わり頃の高校生(一高生)と旅芸人や酌婦の絶対的なクラスの違い。 ◯大坂志郎の「ゆうべ遅く寝て」はお座敷の後で客を取った事の婉曲表現? ◯高橋英樹の演技、晩稲で凡庸な学生にハマっていると言えばハマっているし、  キャラ立ちの「青い山脈」を知らずに初見で見れば単に下手に見えたかもしれない ◯もし当時に封切りで観ていたら、吉永小百合は14〜15歳の処女の儚さを出すには、  少し健康的なイメージが勝っていただろうか? ◯丸顔の土地の酌婦は南田洋子、「青い山脈」の芸者と似たような三枚目風キャラ ◯浪花千栄子の抜群の安定感 ◯途中で拾う白い子犬は踊り子の決して叶わない願望の逆説的な象徴?  犬なら簡単に拾えるが人間はそう簡単にいかない

松野宏軌「吸血髑髏船」雑感

松野宏軌「吸血髑髏船」Hulu C級作品。冒頭いかにも模型の船の全景。ストーリー破綻気味。 35分頃、金子信雄・小池朝雄・内田朝雄・女性(谷口香?)の麻雀シーン(仁義の前日譚の趣)、女性が「ロン」をしたのに内田朝雄が勝つのは単純にダブロンだったのか? だとしても何も発声しないのはルール違反では? 今とは全然違う高いキーで話す当時約20歳の松岡きっこが最大の見所。 岡田真澄が松岡きっこの服を剥ぐ時に一瞬バストトップ露出のサービスショット、このシーンでかかっている不気味なムードの音楽はなんとなくTWIN PEAKS風(55分前後)。

成瀬巳喜男「稲妻」雑感

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成瀬巳喜男「稲妻」雑感 比較的最近(記憶では10年以内)神保町シアターで観たのだが全然覚えていなかった。 一言で言うと変な映画。色々あるがそれでも人生は続く。 65分頃の浦辺粂子の台詞「どう思うたってこう思うたって、しょうがないじゃないか。そうなっちゃったんだもの」が、その口調も含めて、妙に面白く感じられたが、その面白さはうまく言葉で説明できない。この台詞が象徴する流され型の身内、高峰秀子の孤独な抵抗。 金の話、浮気の話、酒飲んでケンカ、など身も蓋もない話連発。 20代前半で観ていたら受け付けなかっただろうがトシを取る程に染みて来る。 和室の立ったまま、またはひとりが座った状態の会話(小林信彦が指摘?)。 研ぎ屋「ハサミ、包丁、カミソリ研ぎ〜」 傘修理「こうもり傘の〜なお〜し」 中北千枝子(次女の亡夫の浮気相手)を訪れた帰りに寄るのは深川不動尊。 高峰秀子プロフィール