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宇佐見りん「かか」読書メモ

宇佐見りん「かか」2019年 河出書房新社 「推し、燃ゆ」が結構面白かったのでこちらも読んで見たが、こっちは正直微妙だった。 癖が強い告白体の変形のような文体。 方言なのか、家族内独自表現なのか、あまり見聞した事がない表現が、台詞だけでもなく地の文に混ざっている。自身を「うーちゃん」と呼び、語る相手(?)を「おまい」と呼ぶ。この手の独特表現が正直結構うざい。時に一読では意味が判らず、何度かその部分を読み返して、標準語の文章に頭の中で翻訳する。かと思うと、全く普通の表現に終始する文もあるので、一定のテンポで読み進められない。 家族のいざこざをあえて読みにくい文体と表現で描写する試みは、現に受賞もしているし、高度な読み手にはチャレンジングに映るのかもしれないが、僕は、普通の文体で読みたかった。 

村上春樹「一人称単数」読書メモ

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村上春樹「一人称単数」2020年発行 文藝春秋 全8作の短編集。 「共通テーマは死?」と思って読み進めるが、 明確に「死」が描かれているのは4番目まで。 5番目のヤクルトの話は父親とラインバック、 6番目の謝肉祭はシューマンの悪霊・自殺未遂、 7番目と8番目の話は文字面には「死」は描かれない。 小説としての濃度は7番目の猿の話で増加して、 8番目の話(特にラスト)で視界不良なレベルに達する。 1〜7番までなんとなく不思議な要素を含む話を連ねていたのは、 8番目の話のフリのように思えてしまった。 8番目の表題作「一人称単数」は、 村上春樹氏の多くの長編の世界観を簡潔かつ直截に凝縮。 日常のすぐ隣にある(或はレイヤー的に常在する)言葉で説明できない異世界。 私見ではデヴィッド・リンチ的世界観と相似形。 普段は見えないが、何かのきっかけで扉が開く。 最近は、多分自分自身の加齢による感性の変化で、 20代の頃のように村上春樹の小説にビンビン感応する、 という事はなくなってきているのだが、 あいかわらずどこか独特な文体・構成にそこそこひきこまれる。 読書のスタミナも年々衰えてて、 メモを摂りながら読まないと読むそばから忘れていくので、 いまやむしろ短編の方がありがたいかもしれない。 村上春樹プロフィール 作家(年齢順)

赤川次郎「ふたり」読書メモ

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赤川次郎「ふたり」新潮文庫 大林宣彦「ふたり」の原作。 映画との大きな違いは姉の幽霊の設定。 映画は姉の姿が実際に実加にだけ見えているような描写だったが、 原作は実加の内側で声が聞こえるだけ。 姉に対する返事は内側でしている場合と実際に声を出している場合があるようだ。 先にこの原作を読めばそうでもなかったのかもしれないが、 どうしても映画を基準に比較してしまい、 映画に比べると総じて冗長な印象。 映画では弾き出しの編集が印象的だったピアノの発表会(P75〜)。 映画では全く描かれなかった親友・真子の父親の葬式(P102〜)。 実加のボーイフレンド・前田哲男は映画には登場しないキャラ。 前田哲男が絡むクラスメイトの名前は前野。 前田と前野と混乱しそうな名字をあえてつけているのは何か狙いがあるのだろうか? 実加目線の項で「父」と表記された次の項で、 実加と一緒にいるのに「北尾」と表記されるのは結構な違和感(p230〜)。 母親が姉の姿を見て会話をするシーンが1ヵ所だけある(p42〜)。 細かい事を気にしなければ、文章じたいは非常に読みやすい。 映画「ふたり」作品データ