Ryan Murphy「ザ・プロム」雑感

Ryan Murphy「ザ・プロム」2020年配信
Netflix配信中(2020.12.22現在)

田舎のゲイの少女をブロードウェイのミュージカルスターが応援する。
あまり深く考えずに見るミュージカル映画としては充分楽しめると思うが、
ストーリーは、冷静に振り返るとひっかかる点多々。

良かった曲:
◯主役はエマ、私じゃない(23分頃、スパニッシュなムード)
◯あなたと一緒に踊りたい(29分頃 オーソドックスな美しさ)
◯人生はリハーサルじゃない(52分頃、軽快なリズムの人生応援歌)

ディーディー達の話とエマの話、
ふたつのメインプロットはどちらもドラマ的には曖昧で弱い。

ディーディー達の話(人気を得る為に社会貢献)は、
何がどうなれば成功なのかという条件が提示されないので曖昧なまま。
映画を動かす話としてはそもそも弱い。
コレが成功しないと仕事を失う、というレベルではなく、
舞台がコケたので暇つぶしに行動しているようにも見える。

エマの話(ゲイの女の子が好きな相手と一緒にプロムに行く)は、
話としては一応成立している。
こちらを明確に太いメインにした方が良かったのではないか? 
ただし、エマは登場時からしっかり意思表示ができているので、
Nicole Kidmanが励まさなくてもなんとかなりそうに見えてしまう。
ひとりで歌ってネットに上げるのは、ディーディー達がいなくても成功しそうなプラン。
ディーディー達と一緒に歌って踊る、など、ひとりでは成立しないプランの方が良かった。
ディーディー達がやった事で一番有効だったのは2回目のプロムの費用を出した事!?

小太りのバリーのサブプロットはバランスを欠いて尺を取っている。
このキャラの親子関係を見せるくらいなら、エマと親の関係修復を見せるべき。
バリーの話がエマをプッシュアップする話になっているなら別だが、
そうなっているようには見えない。

最初のプロムのシーンの校長の言動はよく判らない。
こうなる事を知っていてエマに告げるのだが、
校長はエマ側だったのではないか? 

「ラ・ラ・ランド」のように魂が震えるレベルのミュージカル映画は稀で、
魅力的なナンバーが2〜3曲あればミュージカル映画としては及第点。
その意味では今作も及第点と言えば及第点。




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