北野武「あの夏、いちばん静かな海。」雑感

北野武「あの夏、いちばん静かな海。」1991年公開

公開当時に映画館で鑑賞した時の印象が圧倒的。
言葉で説明しがたい映画的魅力を支える大きな要素は久石譲の音楽。
一発で耳に残るメインテーマ音楽。

メインテーマ音楽に感じる物語は青春時代の恋愛の奇跡。
偶然同じ時代に生まれて偶然出会って偶然仲良くなって一緒に過ごすが、
(殆ど場合)その状態のままで永遠には続かない。
その刹那な永続性、永遠に続くと思える一瞬、ever lasting moment。

試しにメインテーマがかかっている部分を無音にすると相当に味気ない。
台詞もないシーンなので音楽がなくなると魅力75%減(個人の感想です)。

26分頃のバスのシーンは、
いつも一緒にいるが当たり前の相手に何かが起きて、
突然一緒にいられなくなる事はいつでも起きる可能性があるという、
普遍的事実を象徴する名シーン。
この作品においては当然ラストシーンの伏線。

バスのシーンで貴子が一緒に降りなかった理由はよく判らない。
最初は常に一緒にいなくても平気だと思ったのが、
一緒にいない時間がだんだん長くなると、
永遠に会えなくなるような気がしてくる、という事だろうか?

サーフィン関係の脇役の演技が自然(特に発声)。
サーフショップ店長、サーファー仲間、
サーフィン大会場内アナウンス、など。

エピローグで何度も繰り返されるメインテーマ音楽。
集合写真(記念写真)の哀しさ。
同じメンバーは二度と揃わない可能性。
全ての出会い(と別れ)はほんの偶然。
その中でも刹那の永遠要素がより強く顕現するのは若い頃の恋愛という事か。




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