浅田次郎「おもかげ」読書メモ

浅田次郎「おもかげ」講談社文庫 2020年発行

全開ノスタルジー。
多分50歳を過ぎてから読まないとあまり染みてこない類の作品。
解説によると対になる作品とされている「地下鉄(メトロ)に乗って」は
32歳の時に読んでいるが全然覚えていない。読み直そう。

夢/妄想のようなノスタルジー展開を、なんの説明もなく、
ひたすら体験者の主観として、当然起こる事のように描くのが良い。
65歳の男性が19歳の肉体を実感する興味深い描写はP351〜。

死は虚無にちがいないが、
そこに至るまでには、
きっと時間からの解放があると僕は信じている。
たとえそれがたったの数分間であっても、
死にゆく人にとっては数十年にも、
もうひとつの人生にも、
いや永遠に思えるほどの世界が待っているのだ(P246)

眠れない夜の深夜にじっくりしみじみと味わいたい。




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