小峰元「アルキメデスは手を汚さない」読書メモ

 小峰元「アルキメデスは手を汚さない」講談社文庫 1974年発行

巻末の解説にあるように推理小説としてはそれほどでもないが、
70年代の高校生が計画・実行した復讐計画(前半の計画)は、
2020年のいま読んでもなかなか刺激的。

登場人物の高校生の台詞「(セックスは)お互いの粘膜を刺激し合って楽しんだだけのこと(P221)」に衝撃を受けて「高校生になってこんな事を平然と言えるようになりたいけど、僕にはムリで、これはスクールカースト最上位の一部の男子だけにありえる事なんだろう」と感じていたのは明確に覚えているので、初めて読んだのは多分中2か中3の時。この<お互いの粘膜を刺激し合って>という刺激的な表現以外の事は殆ど何も覚えていなかった。
※注:スクールカーストという表現は70年代後半には一般的に存在していなかったが、当時
にどのような言葉で思考したか思い出せないので、一番的確な表現として使う

学園紛争で学内に立てこもった大学生や高校生の間で乱交が行われているという風評があった、という更に刺激的な表現(P257)、一切の経験がない中2か中3の僕にとってはトゥーマッチだったのか、全く覚えていなかった。この風評は事実に基づくのかどうかは非常に気になる所。

2つめの話(姉の不倫相手故殺→姉自殺)は動機・展開・証人などもろもろ弱い。
息子が失神させたのを、母親が死んでいると勘違いして殺し直した、という所がキモだと思うのだが、そこにきちんと焦点があっていない印象(主に語り方の問題)。
重要な証人のお年寄り、一瞬しか会っていない、色眼鏡をかけていた若者をはっきり記憶できるものだろうか?(P269)




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