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Mervyn LeRoy「哀愁」雑感

Mervyn LeRoy「哀愁」1940年公開 U-NEXT配信中(21.06.07現在) 映画館でムードに浸っていれば流せたのかもしれないが、 自宅で配信でじっくり見ると、いろいろ細かい部分が気になった。 失神するほどの愛情があるのなら、 新聞に掲載された死亡記事を信じられず、 葬式に出席してはっきり死に顔を確認したくなるのではないか?  新聞を見たシーンで、 クローニン大尉の母親にその事を伏せる心理もよく判らない。 夜の女に身をやつしていた過去を恥じて自ら身を引く、 という心理は判らないではないが、 自ら死を選ぶ理由はよく判らない。 更に言えば、夜の女に身をやつしていたという展開も、 自分たちの生活の為、というのは物語的に弱い。 ここはベタでも、幼いきょうだいを養う為、とかであるべきでは? そもそも本当にそれ以外の選択肢がなかったのか、 という部分も結構気になった(説明不足)。 Vivien Leighが あまりattractiveに感じられなかったのも入り込めなかった理由のひとつ。 僕の感覚では、どちらかと言えばファニーフェイス。 こういう話でなく、スクリューボールコメディを見てみたい。

時間感覚の変化(あっという間の20年)

35歳からの20年はあっという間で、気がついたらいつの間にか55歳になっていたような感覚がある。自分の心は35歳の頃と殆ど変わっていないのだが、肉体は確実に衰えていて、30代前半で早めの四十肩を発症して以来、ここ25年で肉体的不調が一切ない日は1日もなかったようだ。 時間経過が速く感じられる感覚を自覚しはじめたのは「自分が老化していつかは死ぬ」という事を厳然たる事実として明確に意識した25歳の頃。それまでは「自分が若いという状態」が永遠に続くような幸福な錯覚があった。いまから思えば、そんな錯覚ができるという状態こそが青春だったのだろう。 ものごころついた5歳頃から25歳までの20年間を「正味20年」とすると、25歳から35歳までの10年間は体感で4〜5年、35歳から55歳までの20年間も体感で4〜5年で過ぎた感覚がある。このペースだと、仮に今から40年間、95歳まで生きたとしても、その40年が体感4〜5年で過ぎてしまうのかもしれない。 70年代の10年間(5歳〜15歳)は「子供の頃」 80年代の10年間(15歳〜25歳)は「若い頃」 90年代の10年間(25歳〜35歳)は「最近」という感覚は、 35歳の頃も、55歳のいまも殆ど変わらない。 細かく言うと、55歳のいまは、90年代の10年間は「比較的最近」という感覚であり、 子供の頃は20年前〜30年前は「大昔」に感じたが、そんな感覚は一切ない。 そして2000年以降の約20年間は「つい最近」である。 自分の中の「年表感覚」は80年代が一番はっきりしていて、 自分自身の出来事も世間の出来事(事件から流行歌まで)も、 80年代ならだいたい正確に覚えている。多分ズレても1〜2年。 90年代に入るとだんだん怪しくなり、 90年代前半か90年代後半かはなんとなく判るという感じになり、 00年以降は、類推する期間の幅が5年で収まらなくて10年になる事柄もある。 例えば、田原俊彦がデビューしたのは1980年、とすぐに答えられるが、 オレンジレンジがブレイクしたのはいつ頃? と訊かれれば、 多分00年代? ひょっとして90年代後半? 10年以降ではないと思うけど… と、はなはだ曖昧な記憶で、正解を言われてもピンと来ない。 00年以降は自分の実生活の記憶と流行歌の記憶が密着していない。 ある程度くっついていたのは、90年代後半の安室奈...

渡邊祐介「全員集合シリーズ」雑感

渡邊祐介「全員集合シリーズ」 Hulu配信中(2021.03.30現在) ①1967年 なにはなくとも全員集合!! ②1968年 やればやれるぜ全員集合!! ③1969年 いい湯だな全員集合!! ①〜③を鑑賞。 正直3作ともストーリーはいまいち。 「8時だョ! 全員集合」のオープングコントで多用された基本形(いばっているいかりやが他の4人に復讐される・バカにされる)は使われておらず、いかりやは常にいばっている。 では、それとは違う形の面白さ、アンサンブルがあるか、と言えば、それも特にない。 渡邊 監督はあまりコメディに向いていないのではないか? 全員集合シリーズ作品データ

Jean-Marc Vallée「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」雑感

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Jean-Marc Vallée「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」 2017年公開 Netflix配信中(2021.03.14現在) 冒頭の交通事故以降、 現実とは思えない奇妙な出来事が延々と続く。 実際は死んでいる?  死ぬ瞬間に見る永い夢?  実際は集中治療室で治療中?  いずれにしても、夢のようなものでは? と思いながら見続けるが、 真相は明かされずに終わる。 怪作。 原題「Demolition」は「解体」の意。

市川崑「穴」雑感

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市川崑「穴」1957年公開 Amazon配信中(2021.03.13現在)※シネマコレクション by KADOKAWA ハイテンポで進行するコミカルな犯罪劇。 複雑で判りにくい騙し合い。 もともとの計画からどの程度逸脱しているのか、 あるいは船越英二は最初から計画していたのか、 よく判らなかった。 きちんとノートを取って分析すれば、 結構矛盾があるような気がしないでもない。 台詞で説明して画で見せない重要シーン多数。 替え玉殺し、船越英二の2500万円入手、など。 当時の渋谷の実景ショットがいくつかあるが、 現在の渋谷のどのあたりなのか判らなかった (三和銀行の看板が確認可能)。 ヒロイン京マチ子の様々なメイク・ファッションは、 できればカラーで見たかった。 穴 作品データ

Greta Gerwig「レディ・バード」雑感

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Greta Gerwig「レディ・バード」2018年公開 ハイテンポでリズミカルな編集。 母と娘の関係、高校時代の女性同士の友情。 高校時代の女性の友情はパートナーを変えて 「ブックスマート」に繋がってまた別の形で描かれる(同じ女優)。 とにかくテンポが良い。 現実世界の普通の人の話は90分もあれば充分語れるという良い見本。 凡庸な監督なら100分〜120分かけそうな話。 2003年はあっという間に秋になる。 母親側から見るとずっと隣にいる筈だった娘にいきなり飛び出される話、 主人公側から見ると自分の意思で大胆に故郷(家族)から飛び立つ話 (冒頭のクルマが象徴) 全体の流れから浮いているように見える中絶に関する特別授業(53分頃)、 このシーンに多分監督が密かに伝えたかった何かがある。 高齢で主人公を授かった母親も中絶を考えた可能性。 いま生きている全ての人間は中絶されなかった結果として生まれて来た。 主人公と父親を空港に残して母親がひとりでクルマを運転する(80分頃)。 その胸に湧き上がっていると思われるこの18年間の想い出と哀しみ。 昨日の事のように思える誕生から18年間。 「6才のボクが、大人になるまで。」の絶叫と対照的な静かな涙。 急性アルコール中毒で診断される主観ショット(85分頃)、 覗き込む看護師とまばゆい光は二度目の誕生(気付き)を想像させる。 主人公はその足で(多分初めて自分の意思で)教会に行く。 生まれて来る奇跡。 いつかは必ず来るその時の哀しさ。 そのふたつの間の永い瞬間の全て。 たとえケンカ別れになっても、 出会わないよりは出会う方が良い。 レディ・バード 作品データ

庵野秀明「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」雑感

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庵野秀明「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」2021年公開 一言で言えば少年が大人になる話。 碇ゲンドウに関して言えばちゃんとした大人になりそこねた話?  碇ゲンドウに庵野秀明自身がある程度取り入れられていると想像する。 前回劇場版と同様に最後は実写。 マンガ版のラストに似たテイストの終わり方。 Qと同様に、今作も主にリツコが口にする<専門用語>の意味はさっぱり判らない。 仲間内だけに通じる言葉を使って社会に対して壁を作るオタクのごとく。 ATフィールド=OT(オタ)フィールド!? <専門用語>の意味は判らなくても画の迫力とキャラの感情で魅せる。 これはアニメとしても映画としても大正解。 言葉で説明可能なストーリー・設定なら小説で展開すれば良い。 26年前のTVシリーズから今作まで意匠を貫き通したのは素晴らしい。 特に音楽の使い方(ガンダムシリーズが一番損をしているポイント)。 シン・ゴジラにも使われた例の音楽はココが最適という箇所で使われる。 TVシリーズで多用されていた<暢気な日常のテーマ>スローバージョンに涙腺が緩む(中盤パート)。 冒頭の戦闘シーンのラテン風の音楽もアタマの爪弾くギターから最後まで印象的(多分新作)。 Qを観て気になった以下に関する明確な説明はなかった。 ①シンジが14年間目覚めなかった理由、年を取らなかった理由(シンジも造られたヒト?) ②ミサトのシンジに対する内的心境変化(Qで厳しく接したのはシンジを生かす為?) ③ネルフ分裂のいきさつ マジンガーZから約50年、巨大ロボットアニメが到達したひとつの頂点。 新世紀エヴァンゲリオン 作品データ