Greta Gerwig「レディ・バード」雑感

Greta Gerwig「レディ・バード」2018年公開

ハイテンポでリズミカルな編集。
母と娘の関係、高校時代の女性同士の友情。
高校時代の女性の友情はパートナーを変えて
「ブックスマート」に繋がってまた別の形で描かれる(同じ女優)。

とにかくテンポが良い。
現実世界の普通の人の話は90分もあれば充分語れるという良い見本。
凡庸な監督なら100分〜120分かけそうな話。
2003年はあっという間に秋になる。

母親側から見るとずっと隣にいる筈だった娘にいきなり飛び出される話、
主人公側から見ると自分の意思で大胆に故郷(家族)から飛び立つ話
(冒頭のクルマが象徴)

全体の流れから浮いているように見える中絶に関する特別授業(53分頃)、
このシーンに多分監督が密かに伝えたかった何かがある。
高齢で主人公を授かった母親も中絶を考えた可能性。
いま生きている全ての人間は中絶されなかった結果として生まれて来た。

主人公と父親を空港に残して母親がひとりでクルマを運転する(80分頃)。
その胸に湧き上がっていると思われるこの18年間の想い出と哀しみ。
昨日の事のように思える誕生から18年間。
「6才のボクが、大人になるまで。」の絶叫と対照的な静かな涙。

急性アルコール中毒で診断される主観ショット(85分頃)、
覗き込む看護師とまばゆい光は二度目の誕生(気付き)を想像させる。
主人公はその足で(多分初めて自分の意思で)教会に行く。

生まれて来る奇跡。
いつかは必ず来るその時の哀しさ。
そのふたつの間の永い瞬間の全て。
たとえケンカ別れになっても、
出会わないよりは出会う方が良い。




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