「ゲーム・オブ・スローンズ」雑感

「ゲーム・オブ・スローンズ」Amazon 全8シーズン


最後が残念。話が収斂してゆくまでは非常に面白かった。

覚えきれない程の人物が登場して権謀術数渦巻く複数の話が並行して進行するシーズン6あたりまでは非常に楽しめたが、話が収斂してひとつのシーンが長くなると、話の粗い部分(歩兵の大移動を把握していない、など)が感じられるようになり、各話約60分という長さも次第に冗長に感じられてきた。

話が収斂するまでは、ひとつのシーンの長さは体感では長くて10分以内、登場人物を確認するだけでも一苦労で、それぞれのシーンに濃厚な物語があったが、シーズン7あたりからその傾向は弱まってきて、最終のシーズン8は、各話90分近い長尺でほぼひとつの話。シーズン8の長尺回は、映画館で没頭して集中して観る事を考えて作られているような感じで、僕の視聴環境ではそこまで画や音の迫力も楽しめず、相当冗長に感じられた。

人間ドラマが充分面白いのでファンタジー要素はもっと少なくても良かった。北から来るゾンビは結局生態も目的もボスの正体も最後までよく判らず、8-3の最終決戦は延々暗い画面で判りにくかったせいもあって印象が悪い。火を吹くドラゴンは画としては非常に魅力的だが、戦力バランス的には強力過ぎで、8-5の核兵器使用を思わせる無差別虐殺は非常に後味が悪かった。総じて、人間ドラマ部分に比べて、戦いの戦略や戦術の描写は(意図的なのか)いまひとつだった。

STAR WARS EP7〜9のフォースの強大化にも言えるが、ファンタジー要素による戦力は限定的でないと話全体のバランスは崩れてしまう。最後があんな風だと、最初からドラゴンにひとりで乗っていきなり攻撃しても良かったんじゃないの? って思えてしまう。ファンタジー要素は少年の千里眼と紅い女のちょっとした魔術程度にして、ゾンビもドラゴンも登場せずに徹底して人間ドラマで押し切ってくれたらどうだっただろう、と想像してしまう。もしくは、ドラゴンは登場したとしても、火を吹いて攻撃する事に関して様々な制約を儲けてほしかった。例えば、ドラゴン自身に正義を求める心がある、とか。

奴隷解放を進めてきたデナーリス(民主主義?)とサーシー(独裁政権?)が最後に対決する話だと思って見ていたのが、デナーリスが最後に無差別大量虐殺。庶民に寄り添う側に見える方が大量虐殺という皮肉、権力を狙う人間はいずれ大差ないという事を描きたかったか?
最後の最後がああなると、それまで庶民寄りに見えた態度も、結局奴隷の軍隊を得る為の一時的なポーズだったのか、と思えてしまう。

暗くてなんだか判らなくて長い回(8-3)を含めてラスト4回は無駄に長くて後味も悪い。
そのせいでシリーズ全体を通しての後味もぐっと悪くなってしまった。 




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