平田オリザ「幕が上がる」読書メモ

平田オリザ「幕が上がる」2014年発行 講談社文庫 約340頁

自宅で見た映画「幕が上がる」は誰かアイドルが主演していた事しか覚えていなかったが、この原作小説には、なぜか、非常に強く動かされた。タイムマシンで高校時代に戻れたら、裏方でもいいから演劇部に入りたい、と思った。

定期的に見る夢(眠っている時に見る夢)に、映画の撮影現場や舞台の楽屋・舞台袖で何かをしている(出方ではなく多分スタッフ)夢があり、<バックステージもの>と名付けているその類の夢を見ると、なぜか、いつも懐かしい気持ちになる。ずっと昔から当たり前のようにその場所にいたような感覚。実際にはそんな経験は大学時代の自主映画撮影の現場だけだが、夢で見るそれはちゃんとした商業作品のような印象で、舞台に至っては学芸会レベルでも制作経験も出演経験もないので、普通に解釈すれば、過去に見た映画やドラマの話を自分の経験として再構成しているだけ、若干スーパーナチュラルに解釈すれば、誰かの記憶と夢の世界で混線しているだけだろう。ここ数年はこの類の夢を見ていないが、見ている最中も、目が覚めてからもしばらく続く懐かしい幸福な夢のムードを、この小説を読みながら想い出していた。それにしても、眠っている時の夢と、いつかかなえたい目標としての夢は、なぜ全く言葉なのだろう。

いま検索したら、2015年公開の映画の主演はもいろクローバーZだったと判明したが、それでも配役さえ想い出せない。百田が高橋だとしたら中西は??「桜の園」1990年版は大好きなのに、同じような高校生演劇ものでなぜこんなに印象に残っていないのか……。いま、ちょっと画が浮かんだが、トップシーンは誰かが失恋するシーンだったような。

昨日見た「佐々木、イン、マイマイン」にも通じるが、人生は一言で言えば、出会いと別れ。お互いが発しているエネルギーが(多分)強い青春時代の記憶は、永遠の刹那として、いつまでも強く残る。

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