今関あきよし「アイコ十六歳」雑感

今関あきよし「アイコ十六歳」1983年公開

混沌とした雑多な魅力に溢れた映画。
いろいろな話があるが、どれが主軸がよく判らず、
この作品全体の雑多なムードが青春時代を象徴している。

スマホもパソコンもない1980年代の青春。
自宅の家電、近所の公衆電話で異性に電話する。

原作で時々登場する雑誌のレタールームは映画には登場しない
※雑誌のレタールームは2021年のSNSのようなもの、
若者が読む雑誌にはこの手の読者のお便りコーナーがたいていあった
文通希望、趣味のサークルのメンバー募集などもあった

ジョーズ風POVからグローイングアップ風に着地する下ネタは、
前を押さえずに走りまわり、最後は転んで岸部四郎の顔の上に尻もち、
という所までとことん暴走して欲しかったw(20分頃)。

音楽が流れて台詞がないシーンが妙に魅力的に見える。
特に、サザン「Never Fall In Love Again」が流れるボンファイヤー(29分頃)。

友人の数は多牌気味。
冒頭でニックネームでメインキャストとして紹介されても、
コレといった強い話はなく、多分初見では紅子以外は誰が誰だかよく判らない。
名前があるキャラクターは、
あいつ(元彼氏)の展開に絡む親友ひとり(ゴンベ)と、
敵役ひとり(紅子)でストーリー的には成立すると思う。

二人乗りの自転車のカゴの左側についている小さな人形が、
次のショットでは消えている(よく見るとカゴの右側についている)のは、
単なるミスなのか、それとも、この後の事故の予兆なのか?(85分頃)

ミドルティーンの富田靖子の圧倒的魅力。
やや不機嫌な表情をアオリで捉えたクロウスアップ。
ラストショットのオーバーオールの印象は「さびしんぼう」に直結してしまうw

その他、原作と映画の違いなど、箇条書きで。
※堀田あけみ「1980アイコ十六歳」(1981年、河出書房新社、33刷)
◯映画以上に雑多で饒舌で登場人物も多い。
「お前は誰なんだ?」という人物がいきなり普段の呼び名で多数登場。
映画のストーリーや人間関係は原作に比べればまだ整理されている
◯アイコと紅子は対立したまま
◯映画ではボンファイヤーのシーンで唐突に語られるカンパの話(P147)
映画ではアイコと紅子はカンパを拒否するが、原作ではカンパに応じる
◯ラストのバイク事故、あいつかどうか判らない書き方(P185)
◯島崎愛子(紺野美沙子)は登場しない
◯父親(犬塚弘)は多分登場しなかったと思う






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