尾瀬あきら「夏子の酒」

尾瀬あきら「夏子の酒」1988年連載開始


連載当時は好きになれなかったが、50代半ばになったいま読むと、ビンビン沁みる。
読みながら何度も涙ぐみそうになる。

モーニングの連載を時々斜め読みしていた当時の僕は20代半ば、時代はバブルで、<東京から田舎に戻って酒造り(米作り)をする>という話に対して最初から拒否反応。
ドラマの方も和久井映見目当てでちらっと見たが、「田舎が舞台の古臭い話」的な感想しか持っていなかった。

尾瀬あきらは、東京の高校生の群像青春作品「初恋スキャンダル」が大好きだったので、
「初恋スキャンダル」の続編的な話、「初恋スキャンダル」のメンバーが社会人になって東京で奮闘する話を描いてくれればいいんだけどな〜と思っていたのを、先々週の出来事にように想い出す。
※「初恋スキャンダル」1981年連載開始(全18巻)

あれから約30年、30年前に比べてノスタルジーに浸って過ごす時間が断然増えたいま、「夏子の酒」のような話は単純に沁みる。話の展開はコテコテなのだが、むしろそこが琴線に触れる。夏子の挑戦が仮に失敗しても、それでもいい。
※現在3巻まで読了(全12巻)

この作品のように、読む年齢によって感想が大きく変わる事はよくあるが、それが非常に顕著だったのは「ライ麦畑でつかまえて」。初めて読んだ19歳の時は主人公ホールデンに強烈に移入、2回目の20代半ばの時はホールデンの逆サイド(教師や社会)に移入、3回目の30代の時は全体を俯瞰する作者サリンジャーの視点に移入して読んだ。







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