大林宣彦「野ゆき山ゆき海べゆき」雑感

大林宣彦「野ゆき山ゆき海べゆき」1986年公開

劇場公開時に池袋の映画館でカラー版を観筈なのだが、鷲尾いさ子のヌード以外殆ど何も覚えていなかった。小津安二郎の映画を観ても「単なるホームドラマ」としか思えなかった当時20歳の僕の映画鑑賞力では、この作品を深く味わう事は到底無理だったようだ。あれから34年。今回観たのはWOWOWで放送されたモノクロ版。※2000.08.18鑑賞

当時の鷲尾いさ子は年齢の割に大人っぽい顔、と記憶していが、この作品ではメイクが薄目なのか、あどけなく見える。49分頃の斜めから捉えたショットは伊藤麻衣子風。

前半は子供同士の対立(わんぱく戦争)、後半は女郎屋に売られる鷲尾いさ子の救出話(林泰文、尾美としのり)で大林宣彦作品にしては比較的おとなしめな構成(ハイパーモンタージュはない)だが、無声映画風コミカルな動き、あえて棒読み気味の台詞で独特の世界観に連れて行かれる。台詞は棒読み気味ににする事で逆に古びないようだ。

竹内力、三浦友和、佐藤浩市の他の作品では多分見られない類の演技。佐藤浩市はなんとなく「帝都大戦」の嶋田久作風怪演。

片桐順一郎(鷲尾いさ子の弟)は高柳良一をワイルドにしたような雰囲気。

劇中で歌われる様々な歌。鷲尾いさ子の決してうまいとは言えない歌声が印象に残る。

夢から醒めても夢の続きを見ているような気がした(127分頃)。

ラストで全員が消滅する、ある種の強烈な反戦映画。

鷲尾いさ子 プロフィール                              大林宣彦 プロフィール                                野ゆき山ゆき海べゆき 作品データ


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