「ハートストーン」


「ハートストーン」

劇場公開を見逃してNetflixで鑑賞。
感情やストーリーを言葉で説明しない、極めて映画的な作品。
青春時代を「友情と恋愛(セックス)が殆ど全てと思える時期」と定義すれば、
まさに青春時代の入り口を描いている。
「レス・ザン・ゼロ」「プロミストランド(1987)」に次ぐ「暗い青春映画」の傑作。

思春期前期(推定年齢15歳?)の男女4人、主人公の姉2人、
更に親の世代も含めた複雑かつ繊細で閉塞気味の関係性が、
東アイスランドの田舎の雄大な風景を背景に淡々と描かれる。

冒頭から様々な「死のイメージ」が散見されるので、
「誰かが死ぬ話じゃないといいのになあ」と思って見ていたが、
やはりそれに近い展開になった(主人公に思いを寄せる副主人公が自殺を図る)。
「画面に登場した銃は必ず発射される」という法則は今作も正しく作用。

自分がゲイである事をはっきりと自覚した副主人公が馬小屋で慟哭するシーンは、
ややバランスを欠いて長めで、妙に切実に見えたが、
製作者の誰かの個人的体験が反映されているのだろうか?

中心にある話は「初めてセックスをした日に親友が自殺を図る話」なのだが、
その話が本格発動する前の何気ない会話や小さなエピソードが愛おしい。

一瞬で過ぎ去るイノセンス。
一度セックスを体験するとそれに憧れていた時期には戻れない。
セックスは「世界の(綺麗事だけではない)真実」と置換可能。
…なんて事はこの作品で直接的に描かれている訳でなないのだが、
冒頭と対になっているラストシーンになんとなくそんな事を感じた。



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