「ストレンジャーシングス」シーズン2


「ストレンジャーシングス」シーズン2(Netflix)

シーズン1に比べると冗長・迷走気味。特に前半がかったるい。

シーズン1もじっくり振り返ればいろいろあるのだが、
とりあえず「消えたウィルを探す」とい言う骨太のストーリーが全編を貫いている。
子供3人と母親が消えたウィルを探す→子供3人がイレブンを匿う→ふたつの話がなんとなく重なっていく、という流れ。

シーズン2にはそういう骨太・根幹がなく、シーズン1では日常vs裏側(組織側)と明確だった対立構造も曖昧。特に前半、署長がイレブンを約1年小屋に閉じ込めて外出もさせない展開は、物語的必然性が弱い(擬似親子関係の話に昇華されてない、イレブンは能力を使っていくらでもひとりで生きていける)し、画的には髭面中年の少女監禁事件のように見えて、かなりの停滞感。

イレブン及び関係者の安全の為、と署長は言うが、署長は今シリーズでは組織側と繋がっているので説得力がない。前半の展開は1〜2話で語って欲しかった(停滞感激しいので4話あたりで観るのやめる事を考えた)。
イレブンが小屋を出る後半は多少マシになるのだが、いつもより長めの最終回は、再び署長イレブンの関係性もなんとなく描かれて冗長。

B級ジャンルムービー的作品の最重要要素は、
状況を安定させずにどんどん展開させること。

今シリーズ前半のように展開がかったるいと、
設定・ストーリー上の疑問点が気になってきてしまう。
疑問点を気にする暇がない程にどんどん展開して、
常に状況を不安定にしなくてはいけない。

①ウィルが敵の司令塔をつながっていて弱点(勝つ方法)を知っている
②敵の司令塔をやっつければ軍団は人を襲わなくなる
③ウィルは敵のウィルスに感染していて熱する事でウィルスは出ていく
などは誰かが台詞で言うだけの単なる想像で何のファクトにも基づいていない。
こういう疑問点を(少なくとも視聴中は)気にさせない為には、
一刻も状況を安定させない、特にクライマックスは(基本的には時限爆弾を仕掛けて)一気呵成に展開させなくてはいけない。

敵をなるべくシンプルにして
主人公サイドは常に一緒に行動する。

シーズン1の最終回もウィル発見(署長と母親)と怪物と戦う(主人公とイレブン)の2つに別れるのがカタルシスを削ぐ感じがあったが、今シリーズは3つに分かれてしまい、クライマックス感減退。
そもそもキャラクターの数が多すぎるのが問題。
サビキャラは途中までは絡ませてもクライマックスでは一時退場させるべき。
新キャラ2人(マックスと兄)はこの程度ならいなくても良かったのでは?

物語をひとつに収束させる(これしかないと観客に思わせる)事は基本的にはどんなでも必要だが、特にエンタメ、エンタメの中でもB級ジャンルムービー的作品の場合は特に必要だと思う。クライマックスで主人公(側)が2つ以上に分けて行動する場合は、
絶対にそうしなければいけない必然性が必要だし、2つ以上に分けてなお緊迫感を保つ為には時限爆弾を設定してカットバックが基本。
今作のように曖昧に分断されて、道中にシリーズ前半の埋め合わせ的な会話(署長のイレブンの会話)があるの非常に興醒め。

その他の細かい点あれこれ
◯シーズン1では子供だった5人はしっかりミドルティーンに成長、
 このシーズン2の間に顔も体もどんどん変わっていったようだ。
◯世界観とムード(主に音楽)は前シリーズと同様に最大の魅力。
◯シーズン2最大の驚きはスティーブ(姉のボーイフレンド)の変化、
 シーズン1では典型的バカキャラだったのにw
◯マックスの兄のルックス造形は「セント・エルモス・ファイアー」のロブ・ロウ


前半と最終回をぎゅっと縮めて全5話程度ならマシになったかも。
僕ならマイクとイレブンが再会する話を中心に持ってくる。
前作の最後の戦いでイレブンは記憶を失ってあちこちをさまよっていたが、
偶然母親に再会して記憶が蘇り、マイクのピンチに感応する、みたいな王道展開。
ウィルの話(裏側に感染)は、ウィルは組織に監禁されていて、
ウィルを助け出す事が事態解決に繋がる、みたいな話をなんとか強引に作る。
署長とイレブンの少女監禁事件的展開は全てカットw
あくまで「少年vs裏側の世界」がメインで大人はサブキャラで良い。




コメント

このブログの人気の投稿

島耕作メモ

サッカー日本代表 W杯本大会全戦績

「アリー スター誕生」雑感と妄想