2022年11月

 

2022年11月


河出書房新社「親愛なる向田邦子さま」

向田邦子に関して語った24人の様々な想い。

どのパートも適度な長さで一気に読んでしまう。


倉本聰が憤るテレビドラマで書けないことP24)※「諸君!」1981年11月号

東京新聞夕刊の匿名コラムが軽い調子で触れる「テレビドラマで書けないこと」に対して倉本は以下のように反論する(多分に向田邦子の分も代弁)。

「あなたはテレビを知っているのですか? テレビは巨大です。すごくでかくて力があるんです。政界、財界、その他の圧力。更に最低10パーセント、一千万人の嗜好に合わねば、存在し得ない媒体なのです」

倉本聰の文章には、なにかしら切実な感じが、24人の中で最もにじみ出ているように感じられた。


沢木耕太郎が指摘する男の洗髪の話(P99)※「エスクァイア」1989年7月号

沢木は自分が考える「普通」(男は毎日洗髪しなくても平気)が世の中の男全員に当てはまるとなぜ思うのか? ボクサーかどうかは関係なく、単純に汗をかいたまま寝ると翌朝とても嫌な匂いがするので毎晩寝る前に洗髪しないと気がすまない、という男がいても全然不思議ではないし、同棲している彼女が洗髪を手伝っているのは、セックスする時にその瞬間の性的興奮でかく汗なら平気でも、少し前のロードワークでかいた汗が時間経過で変容する匂いは苦手だから、毎回お湯をかけてあげているのかもしれない。いずれにせよ、なんにつけ、「普通」とか「絶対」という言葉を、他人の言動に関して、悪気なく簡単に使う事に関して、僕は、どうしても違和感や嫌悪感を感じてしまう。沢木が「僕なら毎日洗髪しなくても全然平気」と書く分にはもちろん何の問題もない。ちなみに、僕も、毎日洗髪しなくても全然平気。


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多い時は10冊近い本を同時に読み進めていた時期もあったが、最近は、原則、現役の作家の小説1冊と死んでいる作家の小説1冊、プラス、ノンフィクションかエッセイ1冊の計3冊に絞って読むようにしている。たくさん同時に読むと、今日はどれから読もうか、と迷い、少し読んでは他の本、と目移りしていうちにどんどん時間が経ってしまう事もあったりする。小説は、1冊をなるべく短い時間で一気に読んだ方がその世界に入り込みやすい。若い頃に比べて記憶力が落ちているので、数日空けると、どんな世界観でどんな話だったか判らなくなる、という切実な事情もある。


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近所の大きな公園を散歩。高校生の部活らしい集団が僕がいつも歩くルートをぐるぐる走っていて、後方から多数の足音が迫ってくるのはちょっと怖い。いつもの平穏な散歩を邪魔されたような気分。最近の高校は外部の人間が敷地内に入るのを一切禁止しているのに、公共の公園を部活の活動で集団で大々的に利用するのは、なんだか不公平な気がする。僕が子供の頃の学校は、誰でも自由に出入り可能で、酔っぱらいとが校庭や校舎のまわりを自転車でふらふらまわっていたり、校庭に野良犬が入ってきたりすると、手の空いている教師が対処するのを授業を中断してしばらくみんなで眺めたものだが、いまはそういう事もないのだろう。敷地内に不審者侵入は即警察通報案件かもしれない。


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Disney+のFireTVstickアプリ、例えば全10話のドラマが現状9話まで配信済みの場合に<全9話>と表示され、全エピソード配信済みの場合の<全話>と同じ表記で非常に紛らわしい。予め全何話か調べてから見る事はほぼないので、途中まで配信済みの場合は<全10話中第9話まで配信(第10話は22/11/17配信予定)>などと表記を変えて欲しい。グレイズ・アナトミーS18は新型コロナ問題で<全8話>なのかと勘違いして途中でやめてしまっていた。


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Disney+「キャシアン・アンドー」シリーズ1

人間の心理と行動を緻密に描く。クールでソリッドな画。癖がある登場人物多数。なんとなくTWIN PEAKSを想起。ドラマとしての出来は悪くないが、STAR WARSとして見ると、映画「ローグ・ワン」と同様にどこか物足りない。やはり、僕にとってのSTAR WARSは、フォースとライトセーバーのファンタジーなようだ。


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昭和30年代には娯楽の王様だった映画が、テレビの登場によって、1958年をピークに観客動員を大幅に減らしつつも、なんとか今日まで生き残ってこれたのは、同じ映像娯楽でも、映画館で見る映画と家庭で見るテレビは、体験として全く異なり、ホームシアターやVRシアターで自宅でも大画面と良い音響で楽しめる事ができる2020年代においても、わざわざ映画館に出かけて行って映画を見るという行為は、唯一無二の非日常的映像体験である、という点が大きいと思う。その観点で言うと、00年代半ばのYouTube登場以来、テレビをおびやかしているネットのコンテンツは、自宅にある機器で映像を見るという行為としてはテレビと大きな違いはない。映画館は特に地方では壊滅的になりつつあるが、それでもテレビの登場から約60年を経た今日もなんとか生き延びているが、テレビは今の形のまま今後40年続くとは考えにくい。帰宅した時にリモコンのボタンを1個押して何かのテレ番組を流すのは、ほぼ単なる習慣でしかなく、現状の僕の環境では、ネットの配信コンテンツを見る為には「テレビの電源ON、FireTVstickが繋がっている外部入力を選択、FireTVstick立ち上げ、アプリを選択(見たいコンテンツを選択)」といくつもの作業が必要で、ボタンを1個押すだけのテレビ放送に比べて断然面倒で、着替えたり、買ってきたモノを整理している間に何かを流すだけなら、圧倒的にテレビ放送を選んでしまう。これが、テレビの手軽さを超える便利な機能、たとえば帰宅した瞬間に「僕がその時に一番見たいと思っている筈の映像コンテンツ」を(普段の僕の視聴習慣を学習して)自動スタートするような機能が当たり前に実装されれば、配信コンテンツを選ぶ可能性の方が高く、あっという間にテレビ→ネットというシフトが起こるかもしれない。


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◯ジョホールバルの岡野のゴール(中田のミドルをGKが弾いて岡野が押し込んだ)、昨日の事のように、は言い過ぎだとしても、先週の事のような感覚で覚えているが、実際は25年前(1997.11.16)。当時の僕は32歳。25歳を過ぎてからの人生は冗談のように早く過ぎて行く。

◯チーム立ち上げから本大会まで(4年間最初から最初まで)指揮をとる日本人監督は今回の森保が初めて。ひょっとすると、多くの人が見ていて詰まらないと感じるサッカー(守備重視&カウンター)をきちんと実践して勝ち点をもぎ取る事ができるかも、と期待している。サッカーというスポーツの本質は「守備」にあり、どんな戦術を取るにせよ、本気でしゃにむに得点を狙いに来る相手を10〜15分抑える事ができなければW杯優勝はあえりえない。ブロックを作ってカウンター狙いは、格下のチームが実践する当たり前の戦術だが、なかなか日本は完遂できない。トルシエは「日本には守備の文化がない」と言い、岡田武史はこれをやりきるにはCBとGKの能力不足と言う。大谷翔平のようなサイズと身体能力の選手がCBとGKにいれば、と思わなくはないが、それでも過去の大会に比べれば海外のクラブで活躍しているDFの人材も断然増えてはいる。むしろ、ラインを高めにした時の吉田麻也のスピード不足が一番の不安要素。

◯初戦のドイツは何が何でも勝ちには来ない可能性が高い。日本△◯スペイン△●で、3戦目のスペイン戦を、スペインは勝点3が必要で、日本は勝点1でOKの状況で迎えて、本気で得点を取りに来るスペイン相手にどこまで守れるか見てみたい。前回大会ベルギー戦、後半2-0でリードしていた時、僕の中のサッカー最高応援モードは最高レベルだった。昨日の事のように覚えている。



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