Disney+「オビ=ワン・ケノービ」雑感(ネタバレ有り)

Disney+「オビ=ワン・ケノービ」雑感

EP3のラストシーンを劇場で初見で観ている最中は、双子の太陽、ルークの家、あの音楽、似すぎている若いオーウェンおじさん、EP4を初めて観た中1の夏の興奮も蘇り、STAR WARSの<新作>を映画館で観るのはこれが最後、という感傷的な気分に浸っていたのだが、鑑賞後に冷静になって考えると、EP3の終わり方はEP4にうまく繋がっていない、という疑問が生じてきた。ヨーダとオビ=ワンがあんな風に将来の事をちゃんと相談する事ができる余裕があるのなら、バラバラに20年も隠遁する必然性はない。ルークもレイアも含めて一緒にアウターリムのわびしい星に身を潜めて、ジェダイの残党を集めて機を伺えば良い。基本的に一緒にいる方が身も守りやすい。2005年のその時点では、EP3とEP4の間を埋める<新作>が制作されるなんて夢にも思っていないので、ちゃんと繋がってない気がするけどもう終わりだからまあいいか、STAR WARSというコンテンツが現時点の映画6作品で完全に終了なら(情緒的に)許そう、という気分だった。EP3の初見後に感じたこの感想は17年を経た今も変わっていない。

もっと具体的に言えば、ジェダイと共和国が壊滅的な打撃を受けて、連絡手段も失って、各自緊急避難をして、ルークとレイアもオビワンやヨーダが自ら託すのではなく、一緒にいると守りきれない程の窮地(数的不利)に陥りそうなので、やむなく信頼している人に任せた(誰がどこに連れていったか判らない)、くらいの支離滅裂な逃走劇でないと繋がらない気がしたのだが、アニメ「バッドパッチ」「反乱者たち」を見ると、EP3〜EP4の間も、旧共和国残党はそれなりに組織化されて活動しているようなので、EP3のラストからではすんなりとは繋がらない問題は更に強くなっている。

ルーカスは、EP3を作った時点では「これが最後のSTAR WARSだから、多少無理が生じそうでも、細かい事は気にせずに、なんとなく未来の希望に繋がるムードでEP4に直結する感じで終えてしまおう」と考えたのではないか、と想像する。そもそも「STAR WARSはEP4当初から9部作として構想されていた」という話は眉唾ではないか、と当時から思っている。ルーカスの中に大雑把な展開案はあったにせよ、各キャラの細かい生涯年表レベルまでの構築は、EP3制作時点でもできていなかったのではないか。

今回のドラマシリーズは、うまく繋がってないように思える部分を、何か凄いアイディアで補っているのだろうか、と期待しつつ見たが、1話と2話を見た限りでは、その部分の難しさは残ったままだった。

今回のドラマ(全6話)の時代設定はEP3の10年後。
オビ=ワンは普通の肉体労働者として働きつつ、10歳のルークを双眼鏡で観察して見守っている。ルークを普通の農夫として育てたいと思っているらしい育ての親のオーウェンはオビ=ワンの干渉を嫌っていて、オーウェンのこの姿勢はEP4に直結するが、こうなると、そもそもEP3の最後に預けた時にどんなやりとりがあったのかが気になってくる。

オビ=ワンはオーウェンに「そろそろジェダイの訓練を始めないといけない」などと言うので「だったら最初からオビ=ワンとヨーダがどこかで自分達で育てれば良かったじゃん」とつっこみたくなる。砂に埋めた古いトランクに入っていた通信機が生きているのもつっこみポイントで、おいおい、だったらEP4でレイアがR2に託さなくても良かったんじゃないの!? この後の10年間で完全に壊れて買う金もなかったって事!? と言いたくなる。

EP3最後の時点ではオビ=ワンもヨーダも身を隠すのは短い間のつもりだったが、この10年間の間に更に大きな状況変化があった、という可能性もあるが、今作でそれが描かれる事はなさそう(あるならまずはそれを描いて欲しい)。

オビ=ワンはEP3の最後であんな風にアナキンに<勝利>してはいけなかった。
アナキンが生死不明でどこかに落ちる的な展開にして、オビ=ワンはアナキンを殺してしまったかも、なんとか引き戻す事はできなかったか、というショックと自責の念からジェダイオーダーにも疑問を感じて、ヨーダとの連絡も取れなくなって命からがらオーダー66を逃れてひとりでアウターリムに隠遁。ジェダイ残党狩りを逃れる為に通信手段なども処分して身分を隠してひっそりと暮らしている。で、どこかの時点でヨーダと再会して、ヨーダの導きで霊場でクワイガンに会ってジェダイの心を取り戻し、ヨーダにアナキンの息子の監視を依頼されてタトゥウィーンに来る(アナキンの息子がダークサイドに落ちるのなら成長する前に殺す!?)……という展開なら、現状のスピンオフを活かしつつ、EP4に繋がらなくもないが、EP3のあのような終わり方からEP4に繋ぐのは、相当いろいろ考えないと難しそうだ。

以下、箇条書きで。
○1話と2話の最大の見どころは10歳のレイア。
 性格的にEP4以降に繋がっていて台詞も面白い。
○STAR WARS的世界観はまずまず楽しめる。
○全体的に若干冗長でメリハリ不足。盛り上がるアクションシーンは殆どない。
○オビ=ワンは素手やブラスターで戦うより、レイアが勝手に飛び乗ったスピーダーに嫌がりつつも乗って欲しかった。
○御大が作った新作の劇伴は悪くはないが、従来の曲も使って欲しかった。特にレイア登場シーンでは、レイアのテーマのあのピアノ部分(EP9のエンドロール)を使って欲しかった。
○第1話冒頭で<前回までのあらすじ>としてEP1〜EP3のエッセンスが語られるのは非常に新鮮。

今シリーズの今後に期待する点。
○アナキン(ダース・ベイダー)がルーク/レイアの存在を知るくだりは描かれるのか?
EP4の初登場時(レイアと話す時)にレイアが自分の子供であると知っているようにはとても見えないのだが、どの時点で、どのように知る事になるのか?
○「反乱者たち」で描かれたエズラとダース・モール、オビ=ワン目線で再構成はあるか?
○C-3PO&R2-D2がレイアに会うシーンを見たい!
○アソーカ、アンドー、ソウ・ゲレラなどの登場はあるのか?

…と、乱文乱筆でいろいろ好き勝手な事を書いてるけど、誰に頼まれた訳でもないのにこんな文章をついつい書いてしまうのは、STAR WARSの新作、それも旧知の人物が登場する新作となると、44年前の夏のあの日に気分が直結して血が騒いでしまう、という事なんだろうなあ。

※2022.05.28追記
第1話47分頃のサードシスターの台詞「奴(オビ=ワン)は戦争で娘(レイア)の父親(アナキン)とともに戦った」を素直に解釈すると、レイアは自分の娘である事をアナキン(ベイダー)はこの時点で既に知っている可能性が高い? それとも今作の重要キャラっぽいサードシスターが独占的に得ている可能性もある? EP4の冒頭でベイダーとレイアが会うシーンは、ベイダーが娘である事を知っているようには見えないのだが…。

※2022.06.01追記
第3話鑑賞。
ダース・ベイダー登場シーンにあの音楽がかからない!
どうやら今シリーズは過去の音楽を一切使わない方針のようだ(全く同意できない!)。
オビ=ワンとベイダーが対決、オビ=ワンは一方的に防戦。
EP4で戦う時はそれなりの戦いをしているので、どうやら、やはりEP3から今作の10年の間に何かがあってオビ=ワンはジェダイとしてすっかり衰えてしまい、今作の間(または今作からEP4までの間)にある程度復活、という事らしいが、だとしたら、過去10年間の間の何かをしっかり描いて欲しい。
ここまでのオビ=ワンはEP8前半〜中盤のルークを見るようなもどかしさ。
オビ=ワンに弟がいる事が判明。
それにしても、本当に、一切過去の音楽は使わないのか!?

※2022.06.08追記
第4話鑑賞。
帝国軍基地に潜入してレイアを救出する。EP4オマージュ。
会話をしなくても有効なマインドトリック、この見せ方は初めて見るような。
デス・スター内をウロチョロしていた黒い四角いドロイド(ピーピーピピピ)登場。
旧共和国派はこの時点でも部分的に出動・攻撃ができるレベルでそれなりの活動をしているという事がはっきり描かれる(パス、ネットワーク)。EP3以降の10年間、オビ=ワンとヨーダと生き残ったジェダイは、一体何をしていたのか(ただただ隠遁していただけなのか?)、という疑問は強くなるばかり。オビ=ワンが最後に生きているヨーダに会ったのはEP3のラストが最後、という事になっているのだろうか!? 
そもそも、EP5を見た時点では、ヨーダはダゴバにず〜っと住んでいる、ジェダイ・マスターの名誉会長職のような人で、マスターになる最後の試練・テストとして、ジェダイは誰でもダゴバに来て訓練する、という設定なのかと思っていたのだが、EP1〜3やクローン・ウォーズでは、最前線にも行くし、ライトセーバーで戦うし、政治的な動きもする大活躍。あんなに活動的だったキャラが急に表舞台から姿を消すには、それなりの説明や仕掛けが必要。繰り返すが、EP3で全て完全終了なら、その部分は曖昧なままでも許せたのだが、これだけEP3〜EP4の間の話が出てくるとそうもいかない。
例えばこんなシーンが見たかった(EP3からEP4以降のブリッジになる説明・仕掛け)
○EP3の少し後、ダゴバのジェダイ聖堂(簡易的・粗末な小屋)
 ヨーダは目を閉じて座禅で浮遊、かたわらに霊体クワイ=ガン、実体のオビ=ワンがいる。
○ヨーダは衰えつつあるフォースを駆使して宇宙全体のフォースの流れ(現況と未来)を読み、目を開けてクワイ=ガンとうなずきあう
○オビ=ワンは、現時点で生き残っているジェダイとパダワンを結集してトレーニングしてジェダイオーダー再建を図るべきだと提言するが、ヨーダは優しい口調で説得する。
○ヨーダの台詞
・私の寿命とフォースは私の予想以上に衰えつつある。もうライトセーバーを持って自ら戦う事はできない
・この1000年でいまがジェダイ最大の危機、これから10年〜20年の間に下手に動けばジェダイは絶滅して未来永劫復活しない可能性が高い
・お前(オビ=ワン)とアナキンは今もなおジェダイの命運に関わるキーパーソンでyoung skywlkerが最後の希望
・young skywlkerがシスになるか、ジェダイマスターになるか、現時点では判らない、そばで見守るだけなら良いが、young skywlker自身が自分の意思でお前(オビ=ワン)に近づいてくるまで、お前の方から過剰に接触してはいけない
・young skywlkerがジェダイの最後の希望になる、とお前(オビ=ワン)が判断したら私の元に来るように導いてやるがいい、それが判るのはほんの20年程先の事になるだろう
・young skywlkerがもうひとりのyoung skywlkerに正しく出会う事ができれば、フォースは正しい流れを取り戻す事ができる可能性が高い。お前はそれを導く事になるかもしれない
・フォースのバランスの命運はこの先の数十年にかかっている。私もお前(オビ=ワン)もその時は形を変えているかもしれないが、young skywlkerが正しく導かれれば、やがて彼が私の後継者(グローグー)を導いてくれるかもしれない
○オビ=ワンはなおも即時反攻に向けていますぐ動く事にこだわるが、クワイガンが「いずれ私の世界を知ればお前にも判る。悠久のフォースの流れの中では10年〜20年は瞬きするような瞬間でしかない、いましばらくは、フォースから離れて過ごすのだ」と言って諭す

※2022.06.22追記
第5話
パダワン時代のアナキンとオビ=ワンのライトセーバーを使った訓練、ヘイデン・クリステンセンはスタイルはあまり変わらないが、クロウスアップではさすがにEP2の顔とは違う
第6話(最終話)
やっとオリジナルの音楽を使用。おなじみの音楽が使われているだけで全然感興は異なる。
スターデストロイヤーがオビ=ワンたちの船を追撃するシーン(EP4の冒頭オマージュ)でかかっていた音楽は、EP5でスピーダーによるルーク捜索で使われていた曲と殆ど同じに聴こえる。

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