徳丸純子「PICA PICA」雑感

徳丸純子「PICA PICA」1983.06.21リリース

徳丸純子2枚目のシングル。

夏に始まって秋に終わった恋。
人生の青春時代(夏)と中年期(秋)を歌っている、という解釈もできなくはない。
高校3年当時に飽きるほど聴いていた時は、「秋」の部分は全く意識せず、アレンジとテンポから、ひたすら夏の輝く恋を歌っている曲だと思っていた(17歳男子としては正しいリアクション)が、よく聴くと、メロディは全体にマイナー調で、イントロのギター風も、Aメロ後のデクレッシェンドする口笛風も充分せつない。夏の輝く想い出は次第に薄れていく。

当時は非常に斬新に感じていた打ち込み(デジタルサウンド)、約40年後の2022年のいま聴いても、やはり斬新に感じられる。げんみつに言うと、「当時斬新に感じていた感覚」が鮮烈に蘇る。最近の曲(最近と言っても2000年以降)に心が動かされる事は滅多にないが、1980年代(15歳〜25歳)に好きだった曲は、いま聴いても、断然動かされる。

夏の日射しの日曜日(もしくは夏休み)にひとりで行った札幌のデパート(多分五番館)のイベントでこの曲を歌っていた。黄色のワンピースの衣装、風に揺れる前髪。テレビ番組でそれなりの露出があったが、この曲も売れなかった。

他の歌手が歌う類似曲が思い浮かばない80年代前半のとんがったアイドルソングという観点で、僕の中では、松本伊代「TVの国からキラキラ」と双璧。

余談。
この曲が発売された約1ヵ月後、1学期末の進路相談で担任から「理系が全然ダメなので私立文系に絞るのも手」とアドバイスされ、東京の大学に進学する事を考え始めた。それまでは1年浪人してイチからやり直してなんとか北大、と考えていたのだが、「東京六大学なら学費・生活費を出してやる」と親が言ってくれたので、理系の受験勉強をしたくない一心で、この夏から受験勉強を始めて、なんとか現役で合格できた。受験勉強中の約半年間、「なんとか潜り込んで東京に住めば毎週のようにアイドルのイベントに行ける!」と自らを鼓舞していたが、上京後に実際に行ったのは、1年の5月に池袋西武屋上で開催された岡田有希子の握手会イベントだけだった。その約1年後、岡田有希子は御存じの最期を迎えたが、彼女の短い生の間にも輝く夏の瞬間はあったと信じたい。





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