Lana Wachowski「マトリックス レザレクションズ」雑感

Lana Wachowski「マトリックス レザレクションズ」109シネマズ二子玉川 

過去3作は劇場公開時、DVD購入時に加えて1〜2回、各3〜4回は見ている筈だが、大きな設定・世界観以外はよく判らない展開が多かった。今作も過去3作と同様、殆どの展開は何がどうなっているかよく判らない。一言で言えば、<ネオとトリニティが再び目覚める話>だが、例えば、冒頭の展開が時系列的にどこに繋がるかもよく判らない。

常に事態は進行中で、上映時間は長いが、特にダレる部分はなかった。
モンタージュ・シークエンスが使われるのは事態が動く前の「繰り返される日常」部分のみ。

電話線(ハードライン)を使ってマトリックスから現実世界に戻る、という設定がなくなったらしいが、どうやって戻るのか(どうなったら戻れないのか)はよく判らなかった。

よく判らない=つまらないではなく、アクションシーンは普通に楽しく、よく理解できない事を話しているシーンもそれなりに楽しい。いずれにせよ、予備知識なしで1回観ただけでは設定やルールを理解するのは至難の業。

字幕のカタカナ表記は「マトリックス」「ネオ」だが、実際の発音は「メイトリックス」「ニオ」が一番近いように聞こえる。

そもそも、世の中にある物事で、全てを完全に判るものなんてありはしない。
自分の事だってよく判らないし、自分が実際に体験した事だって殆どは忘却の彼方。
自分が体験した事でそれなりに覚えている事は人生全体の1万分の1程度ではないか? 
本や映画に触れて判った気がするのも、判った気がする部分に関してそう思うだけ。
それも単なる誤解か勘違いかもしれない。

基本的な設定・世界観は判るが、ミッションの勝利条件がよく判らない、人物同士の会話がよく判らない(意味が判らない言葉がある)という展開が続くにも関わらず、なぜか観ていて飽きない、という皮膚感覚は、エヴァンゲリオンの直近の2本に似ている。映画の根本の本質に関わる共通した何かがあるのかもしれない。動く映像と音と音楽を<体感>する事が映画の一番の本質で、言葉で説明できるストーリーは副次的。自宅の小さなモニターと限定された音環境では映画の本質的魅力は大幅に減少する。
※宇多丸さんもまあまあ近い文脈でエヴァンゲリオンとの相似に言及(21/12/24放送分)




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