John Hughes「すてきな片想い」雑感

John Hughes「すてきな片想い」1985年日本公開(1984年制作)

80年代に多数の青春映画を製作・監督したジョン・ヒューズの初監督作品。過去に3回は見ている筈だが結構細かい部分を忘れていた。他のジョン・ヒューズ系作品と記憶がごっちゃになっていた部分も多数。ジョン・ヒューズ系青春映画の中で一番好きな「恋しくて」に比べると、メインの恋愛話に強烈な物語はない(少女マンガのような展開に着地)。物語冒頭からお互いに好意を持っている事は判っていて、すれ違いのみの展開で、恋の成就に対する大きな障害はない。

挫折や成長が主人公に必要な要素と考えるなら、Molly Ringwaldより、むしろAnthony Michael Hallの方が主人公にふさわしい。前半はかなりMolly Ringwaldに執着しているが、最後はMichael Schoefflingのガールフレンドと仲良くなって満足しているように見える。

ストーリーの大枠は恋人交換モノの変型とも言える。

主人公Molly Ringwaldの相手役がいまいち魅力不足で、とってつけたようなラストは正直気に入らない、と見る度に毎回感じていた気がするが、50代半ばのいまの視点で見ると、全ての恋愛映画はファンタジーに思えてどんな結末も許せる。本当のリアルは恋愛の熱が覚めた後にある身も蓋もない話。若い頃の恋愛を突き動かすエンジンは、誤解と妄想と性欲に過ぎないという事はトシを取れば明白だが、当時はそこまで自覚的ではない。若い時は心の衝動を純粋な恋愛感情と思って突き進めるなら突き進む方がいい、言葉に出して行動すれば関係は一夜で進む事もある、という一種の皮肉を込めた話と解釈したい。25歳を過ぎれば打算抜きの純粋な衝動ではなかなか突き進めない。

Molly Ringwaldは殆ど会話をした事もない憧れの上級生に誘われて、ふたりだけで自らの16歳の誕生日を祝う(ラストシーン)。この恋愛がこのままずっと続くとは到底思えないが、それでも結局何もないまま15歳の1年間が過ぎた、という結果になるよりはいい、と作り手は思っていると想像する。

音楽の使い方が独特で面白い。
登場の度に繰り返しかかるAnthony Michael Hallの短いテーマ。
自分の部屋にいる祖父母に気づかれたくない時にかかるサスペンス。

ヒロインMolly Ringwald(1968年誕生)は、微妙なルックスで、声も特にattractiveではないのだが、いま見ても、うまく説明しがたい魅力はある。なんとなく不安定でふわふわしているような雰囲気が、諸々迷っている青春映画の主人公のありようを象徴しているような。

相手役のMichael Schoeffling(1960年誕生、撮影当時23〜4歳?)は普通に20歳は過ぎているように見える(角度によっては20代後半に見える)。

この作品ではガリガリにやせている子供の体型のAnthony Michael Hall、ドラマ「デッド・ゾーン」では言われなければ判らない程のがっちりしたガタイに成長。2010年代にゲスト出演したドラマ「ブラック・ファイル」ではゴリゴリのマッチョオヤジ。どちらも言われなければこの作品の少年と同一人物と気づけないレベル。

おませな弟のJustin Henryは「クレイマー、クレイマー」から6年経って小太りでクソ生意気なガキに成長。

John CusackはAnthony Michael Hallのオタクな友人役(端役)。

コメディリリーフの中国人留学生Gedde Watanabe(1955年誕生)のこの時点の実年齢は20代後半。後にドラマ「ER」に出演(看護師ヨシ・タカタ)。







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