川島雄三「しとやかな獣」雑感

 川島雄三「しとやかな獣」1962年公開


様々な斬新・実験的趣向満載の異色作。Nouvelle Vagueの趣。
一風変わった場所にカメラが置かれているショット多数。

90年代半ばに多分NHK-BSで放送されたのを見た記憶があるが、ほぼ全編マンションの部屋で展開する事と、和服の年配の男性が「こんな鳥かごみたいな所にこもっていられない」みたいな事を言った事しか覚えていなかった。見ていないに等しいレベルの記憶w

「しとやかなけもの」だと思いこんでいた(正解は「…けだもの」)。

和服の年配の男性は伊藤雄之助、wikiの生年月日が正確なら公開当時の年齢は43歳、劇中設定は「もうじき55」だが、2020年の感覚で見ると少なくとも60歳以上に見える。上記の曖昧な記憶は、息子(川畑愛光)に「パパは金儲けは何やってもダメなんだからウチの中でじっとしてりゃいいんだよ」と言われて「小鳥じゃあるまいし、こんな狭っ苦しい所に毎日じっとしておれっかい」と返すのが正解だった(13分頃)。

長男が使い込んだとされている金額は100万円、長男の給料は1万2000円。
2020年の貨幣価値換算なら2000万〜3000万程度?(15分頃)

徹頭徹尾クールな悪女の若尾文子。
最初の登場シーンでは全く話さない。

オープニングで使われた能のような劇伴は何度も繰り返し印象的に用いられている。
狂乱のダンスシーン、白い階段で心境を告白するくだり(2回)、ほか。

全編に渡って構図や展開はオフビート気味だが、その中でも際立つヘンなシーンは、姉と弟が狂ったような夕焼けの赤い部屋の中で踊り狂うシーン(31分頃)。過去も未来も関係性も関係ないと言わんばかりの刹那感炸裂。このシーンを全く覚えていないのは我ながらヒドいw 半分寝ながら見ていたのだろうか?w


妙に印象に残る飲食シーン。
コーヒー、ビール、メロン、信州そば(1日目)。
デンマークのキャビア(数日後)。

部屋の間取りは1LDK(推定12畳のLDK、推定6畳の和室)。
◎LDK
◯小さめのテーブル、椅子2脚
◯ソファ
◯白黒テレビ
◯大きなステレオ
◯双眼鏡(ステレオの上の壁)
◯茶色の洋服ダンス
◯黒いキャビネット(中に洋酒多数、上にダンボール数箱)
◯ダイニングテーブル、椅子4脚?
◯カウンター収納(キッチンとの境目、両側から開けられる扉、カーテン、
 ジュース・コーラ・缶詰め、上にダンボール・トレパ、調理器具?)。
◎和室
◯大きな座卓
◯鏡台
◯和ダンス
◯扉付きの本棚(上に骨壷?)
◯普通の本棚
◯押入れ
◎バス(小さな洗面台、シャワー)
◎和式トイレ

※カメポジメモ
◯01分頃 トイレの奥
◯02分頃 押入れの奥
◯13分頃 ソファの後ろ(和室方面向く)
◯15分頃 玄関のたたき(地面の高さ)
◯16分頃 和室の本棚あたり(畳の高さ)
◯19分頃 ベランダの外(二部屋、家族4人)
◯20分頃 台所側天井あたり(二部屋、家族4人)
◯21分頃 押入れの奥(長女の着替え、背中を掻く)
◯45分頃 台所側天井あたり(ほぼ見下ろし)
◯49分頃 ソファの肘置き部分あたり(家族4人密集)
◯65分頃 和室の奥の本棚の下の段(手前に両親の向こう側で会話)
◯66分頃 台所流し場あたり(超アオリ)
◯66分頃 リビング天井中央あたり(フカンで5人全員)
◯75分頃 玄関のたたき(地面の高さ)
◯77分頃 玄関入ってすぐの天井(ほぼ見下ろし)
◯80分頃 カウンター収納付近の床(超アオリ)
◯85分頃 カウンター収納越し(覗き見感覚、閉じられる扉)
◯86分頃 台所側テーブルの足元(アオリ、飼い猫目線感覚)
◯87分頃 玄関入ってすぐの天井(完全見下ろし)
◯89分頃 リビングのテーブル付近の低い位置(組んだ脚見せ)
◯93分頃 台所側天井あたり(二部屋、家族4人、左側の部屋の窓は不透明?)





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