芦原すなお「官能記」読書メモ
芦原すなお「官能記」1996年発行
生と死と性。
過去に2〜3回読んでいる筈だが、ほぼ忘れていて、読み始めたらだんだん思い出した。
こういう女性がたくさんいる世の中であって欲しいという願い。
ある種のファンタジー、細部のリアリティ。
親をなくして親戚に引き取られ、子供の頃は親戚の子供にいじめられるが、15歳で独立して、天性の美貌・頭脳・運動能力でどんどん成功して行く話。…と、まとめてしまうと魅力の殆どが失われかねない。
告白体の文章と会話の面白さ。自由な心。人生と性はなんでもあり。
捨吉が編集者に住所を教えて貰うくだり、実際は少なくとも編集者から作者への確認が入る事なく勝手に教える事はない、と思うのだが、1980年代はまだありえる話だったのか? 明星や平凡に芸能人の住所が掲載されていたのは60年代の話だったか?
芦原すなおと言えば、当世随一の面白い会話の書き手だと思うのだが、中盤はやや地の文の割合が増えて会話のキャッチボールは少なめ。映画監督とは会話のキャッチボールはもっと読みたかった。
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