瀬々敬久「最低。」

瀬々敬久「最低。」角川シネマ新宿

予想より全然深刻でアート。
紗倉まなのイメージで、勝手にポップなアダルトビデオ業界の内幕暴露的な内容を期待していたようだ(原作未読)。

アダルトビデオはサブモチーフで基本は3つとも家族の話。
冒頭から3つの話がランダムに時系列も動かして描かれるのでかなり混乱。
最初の15分くらいは誰が誰だかいまいち判っていなかった。

①子供が欲しい34歳主婦の話
②AV出演が田舎の母親にバレる話
③母親が昔AVに出ていた高校生の話

いずれの話も既視感があり、ATG的かつ演劇的な美しいショットの連続に時に眠気に誘われる。AV撮影現場シーンを含めて5〜6回あった気がする濡れ場も基本的にソフトでアート。お通夜の夜に妻が夫に迫るシーンはかなり期待したのだがここもそうでもなく。

夫にAV出演を打ち明ける妻の心理は「武士の一分」と同様に僕はどうにも理解できない。
別れるつもりで最後っ屁的に言うのなら判るが、ぬるま湯的関係を打破したくて(今作)、ウソをついているのが心苦しくて(武士の一分)、つまりある意味良かれと思って言う、というのは全く理解できない。僕の考えではAV出演自体や夫の立身の為の浮気自体より、パートナーにそれを打ち明ける行為の方が断然罪は重い。墓場まで持っていけばパートナーにとっては「なかった事」になるが一度口にすれば一生残る。それでもどうしても言わずにいられなかったという話を見せたいのなら、その妻の心理を徹底的に稠密に描いて欲しい。

ふたりのAV女優が登場するが、AV出演を決意した理由は明確には描かれない。①の話の34歳主婦は退屈な日常で多分セックスレスというのは想像できるが、そこから「浮気」ではなく「AV出演」まで一気にジャンプする理由は描かれていない。
②の話の大学生? は「もともとセックスが好きで撮影される事に抵抗がない」というキャラのように描かれていると判断できなくはないが、そういうシーンは1回だけなので断定はできない。もともとはどんな女性だったのか?
実際のケースは理由は「なんとなく」なのかもしれないが、お話としては不満。ウソでもいいから本人が誰かに語って欲しかった。

①の34歳主婦・森口彩乃(1986年誕生) は木村多江と中山美穂を足して2で割ったような雰囲気でなかなかattractive。声もいい。
②の大学生?・佐々木心音は髪型のせいか丸顔に見えて「フィギュアなあなた」ほどattractiveに感じられなかった。
③の女子高生・山田愛奈(1998年誕生)はwikiによると「non-no」の専属モデル、映画.comの紹介文を斜め読みして、この子もAV女優になるものだと思いこんでいて「高校生役だから違法AV? もしくはここから更に時間経過?」と思いながら観ていたが脱がなかった。紹介文をよく読むと「AVと関わりを持つ」と書いてあり、それは広い意味では間違いではないのだが…。

予想していた感じではなかったが、森口彩乃が素敵だったので入場料分は充分満足。こういう「普通の話(現実世界の現実的な話)」には何はなくとも美人女優だ。
角川シネマ新宿の1番スクリーンはそこそこ広くて昔の名画座っぽい雰囲気は良いのだがスクリーンが小さい。前から8列目でも小さく感じる。
エンドクレジットにTwitterでフォローしている上馬場さんの名前があったような?

※2017.12.06追記
エンドクレジットの見間違いではなかったようだ
https://twitter.com/fortyguns/status/938342798150868992




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