橋本治「その後の仁義なき桃尻娘」


橋本治「その後の仁義なき桃尻娘」講談社文庫

初読。
地の文も話し言葉(流行の若者言葉)で会話が多く、
ほぼ全編<いま>を描いていた前作「桃尻娘」に比べると、
地の文もおとなしくなり(滝上と醒井はですます調、主人公も時々ですます調)、
その分<普通の小説>に近くなって前作に比べると読みやすくなった。
基本的に普通の告白体(ある時点から振り返っている)。
主人公は時々現在形も使い、あえて文体も混乱させている印象。

「青春=自分で自分がよく判らない混乱している状態」と定義するなら、
どの短編も(文体も含めて)見事な青春小説。

磯村の話はライブ感強く、かなりひきこまれた。
一直線に進行しないダラダラとした会話の魅力。
P361の長い会話の中の唐突に挿入される
「こんな調子だったら永遠に終わんないけどなァ。いいけど。」
に強烈に持っていかれた。

今作を読むと、小説としてはこの程度が正解で、
前作のように「地の文も話し言葉(流行の若者言葉)」は行き過ぎだった気もする。
前作は会話が多かったので会話で十分<ライブ感>は出せていた。
当時を知っている(知っていた)僕でも前作の地の文は馴れるのに時間を要した。

「早慶上智文系BL」の「BL」って何の略だろう?
ボーイスラブのわけないしw(ググっても出て来なかった)

登場人物メモ
榊原玲奈…大学浪人中
牧村久美…マンガ家志望
松村唯史…ミニコミ誌編集部 ※作者の分身?
滝上圭介…一浪して法政大学
醒井涼子…お嬢様→滝上
木川田源一…カマゲン →滝上(バスケ部の1年先輩)
磯村薫…美少年→木川田




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